個人事業者にとっての究極の節税方法とは何か?
と聞かれれば、僕は、迷わず「法人化」と答えます。
理由は、いろいろあります。
特に、大きいものとしては、
1、消費税が最大2年間免税になる。
2、生命保険に加入して、原則半分を費用にしながら、退職金対策をすることができる。
3、給与所得控除が使える。
4、所得を個人と法人とで分散できる。
などがあります。
今回は、このうち、3、と4、について解説したいと思います。
もし、あなたの事業を法人化するとどうなるか?
あなたの収入はなくなります。
すべて会社の収入となるからです。
そして、個人であるあなたは、勝手に法人の通帳からお金を下ろして
プライベートに使うことはできません。
法人とは、「法律で作られた人」。
あなたと会社は、別人格になるので、いわばドロボーになってしまうのですね。
ですので、会社は、個人であるあなたに予め決まった額の給料を払うことになります。
通常、オーナーは社長つまり役員になりますから、会計用語では「役員報酬」となります。
ちなみに、役員報酬は、毎月同額で出さなければいけません。
なぜなら、利益調整が簡単にできてしまうので、法人税法で禁止されているからなんですね。
一年に一度、定期株主総会の時にだけ、変更することができます。
話が横道にそれてしまいましたが、、、
もし、事業全体で、1,200万円の利益が出ると予測されたとします。
この時、もし月額50万円、年間600万円の役員報酬を支給することにすれば、会社で600万円、個人で600万円とちょうど半分に所得を分散することができます。
話を分かりやすくするために、税金を法人税と所得税だけで話しますと、中小企業の現行の法人税の税率は、
所得が800万円以下は、15%、
800万円超が23.4%です。
所得税は、超過累進課税になっていますので、所得が増えれば増えるほど、税率が上がります。
課税所得195万円以下 5%
195万円超330万円以下 10%−97,500円
330万円超695万円以下 20%−427,500円
と上がっていき、最高税率は45%です。
基本的に税率は所得が増えれば増えるほど、上がっていきますので、1ヶ所で所得を稼ぐよりも分散した方が、お得ということです。
もしあなたが個人事業でやっている場合は、あなた個人に、すべての所得が計上されてしまいます。
事業を法人化すれば、法人と個人とで所得を分散できますので、節税になるというわけです。
例えば、個人で1200万円の所得があるとすると、33%に達してしまいます。
これが600万円だと、20%で済みますし、法人も15%で済むことになりますから、お得ですよね?
そして、お給料として支給することのメリットとして、「給与所得控除」というものがあります。
例えば、先程の例、年間600万円の役員報酬をもらっていたとしても、そこにまるまる税金がかかるわけではありません。
「給与所得控除」が引けるのです。
金額により計算式があるのですが、
年間600万円の給料の場合、
600万円×20%+54万円=174万円
となり、
600万円−174万円=426万円から
所得計算がスタートすることになるのです。
個人事業としてやっていても青色申告控除は最大65万円ですから、給与所得控除を使えるのは大きなメリットとなります。
それでは、どれくらいの規模になったら、法人化のメリットがあるでしょうか?
僕の経験からの実感としては、
利益で600−800万円くらい、
売上で3,000−4,000万円くらいに
達したら、ではないかと思います。
税率はあくまで利益で決まりますので、利益で見ていただければよいのですが、美容室の場合、だいたい売上規模が3,000−4,000万円くらいになると、個人に利益が600−800万円くらいは残るのではないでしょうか?
そして、この頃になると、税負担感が急に出てくると思います。
「なんか最近税金が重いなあ・・・。」
そう感じたら、もしかすると法人化のサインかもしれません。
今日の話では、話を分かりやすくするために所得控除とか考えずに、単純化しています。
実際は、個々のケースで大きく異なります。
ですので、もし気になるようでしたら、ぜひお気軽に担当者までご相談ください。