キャリアアップ助成金が令和3年度から変わります~令和3年4月1日以降 変更点の概要~

美容業助成金サポートならお任せ!ベネフィット社会保険労務士法人の櫻井です。

 

「キャリアアップ助成金」は、非正規雇用労働者の方の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化などの取り組みを実施した事業主に対して助成金を支給する制度です。

令和3年度以降、制度見直しに伴う内容変更が行われますので解説していきます。

一番注目すべき変更点は、すでに取り組まれている方も多い正社員化コースにおいて、今までは、給与の5%アップ要件を基本給または、賞与のいずれかの方法でクリアすればOKでしたが、今回の改正により、給与のアップ幅は3%に減少したものの、賞与のアップによるクリアができなくなりました

賞与で5%アップ要件をクリアしようとしていた方は、計画の見直しが必要になります。

それでは、さらに詳しく見ていきましょう。

 

 

 

 

 

1. 正社員化コース


 
正社員化コースは、有期雇用労働者等正規雇用労働者に転換、または直接雇用した場合に助成されます。

 

※有期雇用労働者とは
1年契約、6か月契約など契約期間の定めのある労働者のことをいいます。
パート、アルバイト、派遣社員、契約社員、嘱託社員など、有期労働契約で働く労働者のことです。

※正規雇用労働者とは
いわゆる、正社員のことで、一般的にはフルタイム勤務(1日8時間・週5日勤務等)で、雇用期間に期限がない労働者のことをいいます。

 

それでは、現行制度の概要を見ていきましょう。

 

 

1-1. 現行制度の概要

 

支給額
(1人当たり、中小企業の場合)

①有期→正規:57万円
②有期→無期:28万5,000円
③無期→正規:28万5,000円

※①~③合わせて、1年度1事業所当たりの支給申請上限人数は20人までです。

 

※無期雇用労働者とは
有期労働契約が通算で5年を超えて繰り返し更新された場合は、労働者の申し込みにより、無期労働契約に転換します。それにより「無期契約の契約社員」となります。

 

 

各種加算措置
(1人当たり、中小企業の場合)(1) 派遣労働者を派遣先で正規雇用労働者として直接雇用した場合

28万5,000円

(2) 母子家庭の母等または父子家庭の父を転換等した場合

95,000円

(3) 若者雇用促進法に基づく認定事業主が35歳未満の者を転換等した場合

95,000円

(4) 勤務地・職務限定正社員制度を新たに規定し、有期雇用労働者等を当該雇用区分に転換または直接雇用した場合

95,000円(1事業所当たり1回のみ)

 

※若者雇用促進法とは
若者の適職の選択やスキルアップをするための措置等を講じるための法律です。

 

※限定正社員制度とは
勤務地、職務内容、勤務時間のいずれか、または2つ以上の条件を限定して働く正社員のことです。

①勤務地限定正社員
通常では正社員が転勤をする企業で、勤務する地域を限定して働く正社員のことです。
②職務限定正社員
職種や仕事内容などを限定して働く正社員のことです。
③勤務時間限定正社員
通常の正社員の勤務時間よりも、勤務時間が短い正社員のことです。

 

次に、支給要件の変更点を見ていきます。

 

 

1-2. 支給要件の変更

 

現行要件

正規雇用等へ転換等した際、転換等前の6か月と転換等後の6か月の賃金を比較して、以下のアまたはイのいずれかが5%以上増額していること

ア 基本給および定額で支給されている諸手当(賞与を除く)を含む賃金の総額
イ 基本給、定額で支給されている諸手当および賞与を含む賃金の総額(転換後の基本給および定額で支給されている諸手当の合計額を、転換前と比較して低下させていないこと。)

 

 

新要件

正規雇用等へ転換等した際、転換等前の6か月と転換等後の6か月の賃金(※)を比較して3%以上増額していること

※ 基本給および定額で支給されている諸手当を含む賃金の総額であり、賞与は含めないこととします。

 

 

1-3. 加算措置の変更

 

上記加算措置のうち、(3)を廃止
(4)の対象として新たに短時間制社員制度を追加します。

 

※短時間正社員制度とは
短時間正社員制度は、育児・介護等と仕事を両立したい社員、決まった日時だけ働きたい入職者、定年後も働き続けたい高齢者、キャリアアップを目指すパートタイム労働者等、様々な人材に、勤務時間や勤務日数をフルタイム正社員よりも短くしながら活躍してもらうための仕組みです。

さらに詳しい情報を知りたい方は、厚生労働省の「パート・有期労働ポータルサイト」をご覧ください。

 

 

 

2. 障害者正社員化コース


 
障害のある有期労働者等を正規雇用労働者へ転換した事業主に対して助成されます。

 

 

2-1. 新設(障害者雇用安定助成金からの移管)

 

障害者雇用安定助成金の令和2年度末での廃止に伴い、障害者雇用安定助成金(障害者職場定着支援コース)の「正規・無期転換」措置を、キャリアアップ助成金の「障害者正社員化コース」に移管されました。

 

 

2-2. 障害者正社員化コースの概要

 

概要

障害者の雇用促進と職場定着を図るために、次の①または②のいずれかの措置を講じた場合に助成されます。

①有期雇用労働者を正規雇用労働者または無期雇用労働者に転換すること
②無期雇用労働者を正規雇用労働者に転換すること

 

支給額

※( )内は中小企業以外の額です。
※ 支給対象期間1年間のうち、最初の6か月を第1期、次の6か月を第2期の支給対象期といいます。
※ 支給対象者1人あたり、上記の額が支給されます。ただし、当該額が、各々の支給対象期における労働に対する賃金の額を超える場合には、当該賃金の総額を上限額とします。

 

 

 

3. 健康診断制度コース


 

有期雇用労働者等を対象とするる「法定外の健康診断制度」を新たに規定し、延べ4人以上実施した場合に助成されます。

本コースは令和3年度から、下記の諸手当等共通化コースに統合されます。

 

 

4. 諸手当等共通化コース


 

有期雇用労働者等に関して正規雇用労働者と共通の諸手当制度を新たに設け、適用した場合、または有期雇用労働者等を対象とする「法定外の健康診断制度」を新たに規定し、延べ4人以上実施した場合に助成されます。

 

 

4-1. 現行制度の概要

 

支給額
(1事業所当たり、中小企業の場合)38万円(1事業所当たり1回のみ)

 

各種加算措置
(1) 共通化した対象労働者(2人目以降)について、助成額を加算
・対象労働者1人当たり 15,000円 (上限20人まで)

(2) 同時に共通化した諸手当(2つ目以降)について、助成額を加算
・諸手当の数1つ当たり 16万円 (上限10手当まで)

 

 

4-2. 支給要件の変更

 

令和3年度から、対象となる手当等を下記の通り変更します。

 

変更前

①賞与
②役職手当
③特殊作業手当・特殊勤務手当
④精皆勤手当
⑤食事手当
⑥単身赴任手当
⑦地域手当
⑧家族手当
⑨住宅手当
⑩時間外労働手当
⑪深夜・休日労働手当

 

 

変更後

①賞与
②家族手当
③住宅手当
④退職金
⑤健康診断制度

※上記①~④について、以下の支給または積み立てなどを行った事業主が対象です。
①6か月分相当として50,000円以上支給
②③1か月分相当として1つの手当につき3,000円以上支給
④月3,000円以上積み立て
なお、⑤については各種加算措置(1)の対象となりません。

 

※健康診断制度に関する支給要件の注意点
コース統合に伴い、定期健康診断等の受診日の前日から起算して3か月以上前の日から受診後6か月以上の期間継続して、支給対象事業主に雇用されている有期雇用労働者等であることが必要となります。(下線部が新要件部分です)

また、これに伴い、支給申請期間も、健康診断制度を有期雇用労働者等に延べ4人以上実施した日を含む月以降6か月分の賃金を支給した日の翌日から起算して2か月以内となります。


※制度を規定したのが令和3年3月31日以前の場合は、健康診断の実施日や諸手当等の適用日が令和3年4月以降であっても、以前の制度が適用されます。

 

 

 

5. 選択的適用拡大導入時処遇コース


 

労使合意に基づく社会保険の適用拡大の措置の導入に伴い、その雇用する有期雇用労働者等について、働き方の意向を適切に把握し、被用者保険の適用と働き方の見直しに反映させるための取り組みを実施し、当該措置により新たに被保険者とした場合に助成されます。

 

※労使合意とは
従業員の2分の1以上と事業主の合意によって取り決められる、労働条件や福利厚生などのことです。

※社会保険の適用拡大の措置とは
従業員が500人以下の企業の場合、労使合意をすることで、短時間労働者(主にパートタイムやアルバイトなど)でも厚生年金保険や健康保険に加入できるようになります。加入の条件として、以下の全ての項目を満たす必要があります。
・1週間あたりの所定労働時間が20時間以上
・1か月あたりの所定内賃金が88,000円以上(残業代、通勤手当等を除く)
・雇用期間の見込みが1年以上
・学生でないこと(夜間、通信、定時制の学生は除く)

さらに詳しい情報を知りたい方は、厚生労働省の「社会保険適用拡大特設サイト」をご覧ください。

 

 

5-1. 時限措置の延長

令和2年度限りとしていた措置を、令和4年9月末まで延長します。
従業員が100人を超える事業主は、一部の加算措置を除き令和3年9月末まで

 

①労使合意に基づく任意適用に向けて、保険加入と働き方の見直しを進めるための取り組みを行った場合

助成金を支給
1事業所当たり 19万円(中小企業の場合)
※1事業所当たり1回のみ

 

②措置該当日以降に対象労働者の基本給を一定の割合以上増額した場合

基本給の増額割合(2~14%)に応じて助成額を加算
1人当たり 19,000円~13万2,000円
詳細は以下の通りです。

2%以上3%未満      1万9,000円
3%以上5%未満      2万9,000円
5%以上7%未満      4万7,000円
7%以上10%未満    6万6,000円
10%以上14%未満  9万4,000円
14%以上        13万2,000円

※支給申請上限人数は45人まで

 

③措置該当日以降に対象労働者の生産性の向上を図るための取組を行った場合

助成額を加算
1事業所当たり 10万円

 

 

5-2. 時限措置の期限

取り組み時点において事業主の従業員数が101人以上500人以下の場合は、上記①~③の助成の措置期限が異なります。

①⇒令和3年9月30日まで
②⇒令和4年9月30日まで
③⇒令和3年9月30日まで

 

 

 

6. 短時間労働者労働時間延長コース


 

有期雇用労働者等の週の所定労働時間を延長し、新たに社会保険を適用した場合に助成されます。

 

 

6-1. 時限措置の延長

 

令和2年度限りとしていた措置を、令和4年9月末まで延長します。

 

・短時間労働者の週の所定労働時間を5時間以上延長し新たに社会保険に適用した場合

1人当たり 22万5,000円(※)←上乗せ前の額:19万円

・労働者の手取り収入が減少しないように週の所定労働時間を1~4時間延長するとともに基本給を昇給し、新たに社会保険に適用させた場合(※)

1人当たり 45,000円~ 18万円

詳細は以下の通りです。
1時間以上2時間未満 45,000円
2時間以上3時間未満 90,000円
3時間以上4時間未満 13万5,000円
4時間以上5時間未満 18万円

<1年度1事業所当たり支給申請上限人数は45人まで(※)←以前は15人まで>
※は現時点で令和3年3月31日までの暫定措置です。

 

 

 

まとめ


 
キャリアアップ助成金を申請するためには、事前に「キャリアアップ計画」の提出が必要です。

キャリアアップ計画とは、簡単に説明すると、どのスタッフに対して、どれくらいの期間、どんな目標を立て、その目標を達成するために事業主が何を実施するのかという計画のことです。

あくまでもスタッフの「能力向上」「給与アップ」「正社員登用」等が目的のため、計画を立てる時には対象となるスタッフの意見を聞く必要があります。

また、既にキャリアアップ計画を提出している事業主の方が、当初の計画とは異なるコースを利用する等の場合、事前に「キャリアアップ計画変更届」の提出が必要となりますので、忘れずに提出しましょう。

助成金の申請をお考えの方は、ベネフィット社会保険労務士法人までお問合せください。

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