今日は、税法の話です。
ウェブサイトの制作費用が、一時の損金になるのか、という話です。
実は、2018年3月現在、ウェブサイトの制作費用に関する明確な規定はありません。
実は、こんなことがありました。ちょうど1年前、2017年2月の話。
「ヤマハ発動機、7.2億円申告漏れ」
申告漏れの内容の一部にこんなものが含まれていました。
○ホームページ掲載用アニメなどの映像の制作費用・・・約2億円
○開発用の設計ソフトウェアにかかった費用など・・・約2億円
記事を見る限り「繰延資産」として、2年に分けて経費に落とすべきものを、2013年12月期に、1期で経費に落としたことが指摘されたようです。
「繰延資産」とは、会社が支出する費用で、支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶものを言います。
実際、ホームページの制作費については、ほとんどの会社が次のような経理処理をしていると思います。
(1)制作費用・・・全額を支出時に経費
(2)プログラムが組み込まれている部分・・・ソフトウェアとして5年で償却
その根拠となっていたのは、これでした。
≪国税庁のホームページのQ&A。≫
「通常、ホームページは企業や新製品のPRのために制作されるものであり、その内容は頻繁に更新されるため、開設の際の制作費用の支出の効果が1年以上には及ばないと考えられますので、ホームページの制作費用は、原則として、その支出時の損金として取り扱うのが相当であると考えられます。 |
ただし、ホームページの内容が更新されないまま使用期間が1年を超える場合には、その制作費用はその使用期間に応じて償却します。
また、制作費用の中にプログラムの作成費用(ソフトウェアの開発費用)が含まれるようなホームページについては、その制作費用のうちプログラムの作成費用に相当する金額は無形減価償却資産(ソフトウェア)として耐用年数「5年」を適用して償却することとなります。」
という記事が以前は掲載されていました。
「以前は」というのは、今はどこを探しても出てこないのです。
つまり、削除されている!
ヤマハ発動機が指摘されたホームページの制作費は、会社側は当時の国税の見解に沿ったもので、間違いとはいえません。
「後出しじゃんけん」的です。
大企業なので、いわば「見せしめ」的に修正を求められたものと言えそうです。
税金の法律は、次のように構成されています。
根本をなす部分から順に、
「法」
「施行令」
「施行規則」
となっています。
ここまでが法律。
そして、国税庁内の内部指針として、
「通達」
というもの次に続きます。
これは、もともと、国税庁内で、職員に対し「どう考えるべきか」を示したものですが、国税庁サイト等で公表されていて、実質的には、法律のように扱われています。
そこまで含めても、現実、どう処理すべきか微妙なものがたくさんあるので、
国税庁サイトに「Q&A」が載っていたり、さらには、裁判に至ったときの判例や様々の書籍を参考にしたりします。
だいぶ難しい話になってしまいましたが、とにかく、現状、ウェブサイト制作費用の規定が何もないということなのです。
規定がないなら、どうすればいい?ということになると思いますが、
「規定がないなら、費用で落としても問題ないだろう」という見解も成り立ちますし、
保守的にいくなら、「資産計上して、各期に配分すべき」という考え方も成り立ちます。
税法や会計の原理原則でいきますと、減価償却資産、繰延資産、前払費用など、名目はそれぞれですが、
支出の効果が長期にわたって及ぶものは、期間配分すべき
という考え方があります。
実態に合わせて、処理すべきということになります。
おそらく国税庁からしてもホームページ制作費用は、支出の効果が見えにくく、扱いにくいものなのは確かです。
昔に比べて、内容も高度なものになり、金額も高額になってきたため、当局としては、税金を課したいつまり、一時の費用として認めたくないという気持ちがあるのでしょう。
美容室のホームページも年々、高度化、高額化してきていますから、今後の動向にも注意が必要ですね。
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