From 伊澤真由美
池袋のオフィスより
電車に乗って移動していると、たまたま座席に座ることができたとき、ふと、向かいに座る人たちに目が行くことがあります。
最近は、ほとんどの人が携帯電話を片手にして、何かをしています。
本や新聞を読んでいたり、連れの人とおしゃべりしたり、眠っていたりする人もいます。
スーツ姿の男性もいれば、大きなバッグを抱えた学生、習い事に向かう様子の女性もいます。
スーツ姿の男性、と言ってしまうとひとくくりになってしまいますが、10人いれば、10人、皆それぞれ様子が違います。
ひとりひとりが違う人間ですから、抱えている家庭環境や事情も人それぞれ違うことでしょう。
個人にかかる税金である、所得税。
実は、所得税は、そんな個々人の事情を、できるだけくみ取れるように、仕組みが考えられています。
「所得」というのは、簡単に言うと「もうけ」のことです。
所得税の計算では、所得(もうけ)を10種類のカテゴリーに分類しています。
なぜ、そんなに細かくいくつにも分類しているのかといいますと、これは「毎年同じようにあるもの」と「たまたま今年だけ出てきたもの」に同じように税金をかけてしまうと、困ることがある、ということを考えているからです。
「毎年同じようにあるもの」の代表格としては、「事業所得」と「給与所得」があります。
事業所得は、個人事業主のもうけのことです。
美容室を個人で経営している場合には、お店に関するもうけが、事業所得になります。
給与所得は、サラリーマンの給与や賞与がもとになるもうけです。
お店に勤めて、給与をもらって、年末調整をしてもらっている場合、給与所得がある、ということになります。
継続してもうけが出るような「事業所得」や、毎月受け取る「給与所得」は、「総合課税」と言って、最終的にはそれぞれのもうけを合算して、税金を計算します。
給与と同じように、サラリーマンが勤務先からもらうものとして、退職金があります。
同じところから支払われますが、退職金は、給与や賞与とは別の「退職所得」というカテゴリーに入ります。
退職金というのは、一般的には、長い間勤務を続けて、引退するときに受け取ります。
本来は老後の蓄えになるはずの収入ですから、毎年同じようにもらえるものとひとまとめにされて、たくさん税金を払うことになると、その後の生活に支障が出てしまいます。
その点を考慮して、退職金については、「分離課税」と言って、給与や事業とは区別して、税金の計算をします。
「たまたま今年だけ出てきたもの」について、税金の負担が大きくなり過ぎないように、別々にしているのです。
人それぞれで異なる事情は、「所得控除」という、もうけから差し引く部分でも考えられていますが、そもそものもうけの計算部分でも、いろいろ配慮がなされているのです。
なお、税務署へ提出する所得税の確定申告書用紙にはAとBの2種類があり、Aは給与や年金のみの場合などシンプルなものになっています。
Bは誰でも使えるものになっていて、事業所得の場合はこちらを使用します。
もしもどちらを使うか迷うようなことがあったとしたら、Bを使えば大丈夫です。
PS 税務や給与の計算について気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
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