縮小均衡時代の経営戦略とは? 〜「〇〇経営」のススメ

From 田崎裕史
池袋のオフィスより

人口が減少し、マーケットも縮小していくこのような時代、私たちは、どのような経営戦略をとればいいでしょうか?

そのヒントになるのが、「年輪経営」です。

伊那食品工業、塚越寛会長の提唱する「年輪経営」。

あなたもご存知かもしれません。

私も名前は聞いたことがありましたが、じっくり読んだことはなく、どういう内容か、詳しくは知りませんでした。

たまたま経営のことをあれこれ考えていて、手にとった本が塚越会長の本でした。
数冊、読みましたので、まとめてレポートしたいと思います。

伊那食品工業は、山深い長野県の伊那市にあります。
「寒天」の会社です。

創業以来48年間増収増益を遂げた会社として有名ですが、そのこと自体は、塚越会長の理念の本質からは少し外れたことかもしれません。

会社は社員を幸せにするためにある、というのが根底にあり、「いい会社」を目指すため、「会社の数字」と「社員の幸せ」のバランスをとることが経営者の仕事だと断じています。

特に、印象的なのが、「年輪経営」です。
いい時も悪い時も無理をせず、低成長を志して、自然体の経営に努める、ある意味、地味な手法です。

この「年輪経営」にとって、最大の敵は、「急成長」です。

塚越会長にとって、忘れられない事態が生じました。

それは、2005年の寒天ブーム。

テレビの健康番組で、寒天が健康に良いということが広まって、一気に需要が拡大。
ダイエットブームと相まって、まさに火がついた状態になりました。

お年寄りや、医療・福祉関係者から「ぜひ使いたいので頼む」とお願いされ、社員に相談の上、昼夜兼行体制で増産に踏み切りました。

そして、前年比140%の売上増
かつてない増収となりました。

ところが、ブームが去った2006年は、前年より売上減。
これにより創業より続いた増収増益が途絶えました。
過大な設備投資はしていなかったため、表面上は、通常の生産体制に戻すだけだったとのことですが、社員が大きく疲弊し、実態として、元の状態に戻すまで1年以上かかったそうです。

塚越会長は、この事実によって、「急成長」の危険性と「年輪経営」の重要性を再認識したそうです。

確かに、成長していくことは、大切ですし、それが大きく進展するのは、経営者としては、嬉しいものです。
しかし、それがキャパを超えるものであると、心身ともに、必ず社員に負荷がかかります。
結果、モチベーションがダウンし、最悪の場合、退職につながります。
そうなれば、せっかく積み上げたものが減退し、翌年以降の経営に大きくマイナスになってしまいます。

仮に戦後の高度成長期であれば、周りも同様に成長していたので、頑張れば頑張った分だけ、個々も成果を得られやすかった。
だから、「成長」が目標でもよかったかもしれません。

しかし、この縮小均衡期に、無理に急拡大しようとすれば、無理が生じ、社内のどこかに必ず歪みが生じます

その結果、社員が不幸になってしまえば、何の意味もありません。

そうならないよう、私たち、この時代を生きる中小企業の経営者は、着実に確実に進んでいく、持続的な安定成長を期して、社員とともに一つ一つ築いていくそういう必要があるのではないでしょうか?

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