減価償却とは?計算方法や対象資産を美容室経営の具体例で解説

減価償却とは?計算方法や対象資産を美容室経営の具体例で解説

事業を行っていると「減価償却」という言葉を耳にする機会も多いかと思います。
美容室だと、お店をオープンする前に内装工事や美容機器の購入を行いますよね。
設備や器具など高額な固定資産の支払いをしたときには減価償却が必要になります。

そこで今回は減価償却とは何か?なぜ行うのか?対象となる資産は?など、具体例を交えて解説していきます。

目次

  1. 減価償却とは
  2. 減価償却費の計算方法
    1. 定額法
    2. 定率法
  3. なぜ減価償却を行うのか?
  4. 減価償却できる資産・できない資産(美容室の場合)
  5. まとめ

1. 減価償却とは

減価償却(げんかしょうきゃく)とは、10万円を超える固定資産(建物・備品・車両運搬具など)の購入費用を、耐用年数(使用できると想定される期間)にわたって分割して経費とする会計処理のことを指します。

建物や備品、車両などの資産は、時間の経過により古くなってその価値が減っていきます。
そのような資産は、購入した年度だけで経費にしてしまうのではなく、耐用年数内で分割して経費にしていこうという考えです。
減価償却の対象となる資産は減価償却資産、分割された経費を減価償却費といいます。

2. 減価償却の計算方法

減価償却には定額法定率法の代表的な2つの計算方法があり、原則として個人事業主は定額法を、法人は定率法を用います。

2-1. 定額法

資産を購入したときの費用(取得価額)を耐用年数で割り(=償却率を掛ける)、毎年一定の金額を経費として計上(償却)します。
具体的な例に当てはめて考えていきましょう。

(例)美容室を営む個人事業主が令和5年1月に50万円のシャンプー台を購入した場合

美容室でのシャンプーのイメージ

美容室でのシャンプーのイメージ

シャンプー台など美容機器の耐用年数は5年と税法で定められています。
このケースだと、50万円を5年間で減価償却します。
そのため、考え方としては令和5年から5年間毎年10万円ずつ減価償却して費用計上します。

2-2. 定率法

償却がまだ終わっていない資産の費用(初年度は取得価額と同じ)のことを、未償却残高といいます。
定率法では未償却残高に耐用年数に応じた一定の償却率を掛け、毎年経費として計上(償却)します。
償却する金額は初年度が一番多く、毎年減っていきます

※注釈
建物・設備などには個人事業主・法人のいずれも定額法を用います。
また、税務署へ届け出ることで個人事業主でも定率法を、法人でも定額法の利用が可能な場合もあります。

3. なぜ減価償却を行う必要があるのか

結論から言うと、期間ごとの収益と費用を対応させるためです(費用収益対応の原則)。

先ほどのシャンプー台の例を基に説明します。
令和5年1月に購入したシャンプー台は令和6年もそれ以降も使い続けるものです。

例えば毎年30万円の売上を上げている美容室があるとします。

減価償却を行わず、シャンプー台を購入した令和5年に全額経費にすると、
令和5年:売上30万円 - 費用50万円 = 利益-20万円

一方で、
令和6年:売上30万円 - 費用0円 = 利益30万円

同じシャンプー台を使って売上を上げているのに、令和5年は赤字令和6年は黒字と収益と費用が対応していないことが分かります。

つまり、収益と費用を対応させるため経費を耐用年数に応じて費用にしていく必要があり、その上で減価償却は大切な会計処理方法となります。

4. 減価償却できる資産・できない資産(美容室の場合)

10万円以上で使用可能な期間が1年以上、耐用年数が定められている資産が対象です。

  • ハサミ
  • シャンプー台
  • 椅子
  • 内装工事(建物・壁・看板・照明・ボイラー・冷暖房など)
  • パソコン
  • 電話機

など

耐用年数においては、美容室で使う設備・器具・備品は多くが5年で設定されています。
建物や設備などは耐用年数が異なるのでご注意ください。

まとめ

美容室は店舗の内装工事や美容器具など多くの固定資産で成り立っています。
減価償却費や耐用年数への理解を深めて適切な会計処理を行いましょう。

出典

国税庁|No.2100 減価償却のあらまし


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