期末の在庫が増えるとどうなるか

美容室ではシャンプーやトリートメント、カラー剤などの美容材料や店販用の商品をまとめて仕入れ、お店にストックしていると思います。
残りが少なくなってきたら発注する、ということは行っていても、毎月在庫の棚卸を実施して、月次決算に反映できているお店はあまり多くはありません
しかし、年に一度の決算では必ず棚卸を行い、在庫の金額を計上します。

この記事では、期末在庫が増えると決算書の数値にどんな影響を与えるのかを解説します。

目次

1. 「在庫が増える」とはどういうこと?
2. 在庫は「費用」ではなく「資産」になる
3. 在庫が増えると利益が増える
4. 注意点:実際のキャッシュフローとは異なる
5. 在庫の管理が重要な理由
まとめ

1. 「在庫が増える」とはどういうこと?

期末の段階で棚卸を行った際に、まとめて仕入れた材料や商品が多めに残っていることがあります。
決算の際には、期首の在庫(前期末の在庫)と期末の在庫の差額が当期の原価になりますので、
期首の在庫より期末の在庫が多い場合は「在庫が増えた」状態になります。

2. 在庫は「費用」ではなく「資産」になる

決算において、在庫は「資産」として計上されます。たとえば、仕入れたカラー剤をまだ使用していなければ、
それは「使っていない=まだ費用化されていない」ため、棚卸資産として決算報告書の「貸借対照表」に載せられます。

3. 在庫が増えると利益が増える

期末の在庫が増えると、仕入れた金額から除かれる金額が多くなります。
つまり、在庫が多ければ多いほど、その年の「費用」が少なくなり、結果として「利益」が増えることになります。
具体例で比較してみましょう。

具体例①

期首の在庫:30万円
年間仕入:500万円
期末の在庫:50万円

この場合、決算で原価になるのは30+500-50=480万円です。

具体例②

期首の在庫:30万円
年間仕入:500万円
期末の在庫:200万円

この場合、決算で原価になるのは30+500-150=330万円です。

このように、期末在庫が増えると、原価が減り、その年の決算では利益が増加します。

4. 注意点:実際のキャッシュフローとは異なる

在庫が増えても、それは「まだ売れていない・使っていない」材料や商品です。
仕入れで支払ったお金はすでに出ていっていますが、まだ売上がありませんから、キャッシュ(現金)は減った状態です。
在庫が増えると決算では利益が増え、納税も増えることになりますが、
一方で「利益が出ているのにお金がない」という利益とキャッシュのずれが生じることにもなります。

5. 在庫の管理が重要な理由

たくさんの在庫を抱えているというのは、動かすことができないキャッシュがたくさんあるのと同じ状態です。
よって、適正な在庫を保つことは、キャッシュフローの改善にもつながります。
過剰な在庫は保管スペースを圧迫し、廃棄などのロスにもつながるため、定期的な棚卸と在庫管理の見直しが重要です。

まとめ

美容室の期末在庫が増えると、決算では利益が増えることになります。
しかし、決算での利益と実際の現金収支とは異なるため、在庫管理をしっかり行い、健全な経営を目指しましょう。