住宅ローン控除が所得税から控除しきれない場合

住宅ローン控除が所得税から控除しきれない場合

新しく住宅を購入し、ローンを組んだ場合は住宅ローン控除を利用して節税を行うことが可能です。
一般的には、「住宅ローン控除=所得税からの控除だけ」と考えられがちですが、実際には住民税からも一部控除が可能です。
今回はその論点についてとりあげます。

目次

  1. 住宅ローン控除の概要
  2. 所得税で控除しきれない場合は、住民税から控除可能
    1. 具体例
  3. まとめ

1. 住宅ローン控除の概要

住宅ローン控除の正式名称は「住宅借入金等特別控除」です。
住宅を購入した際に組んだローンの年末残高の 0.7 ~ 1% を、そのまま所得税額から控除できる制度です。
細かい割合や上限額、適用できる期間は居住を開始した年度や居住する住宅の種類によって異なります。

他の所得控除とは異なり、住宅ローン控除は税額控除に該当し、直接税額を減らせるため、節税効果が非常に大きな制度です。

2. 所得税で控除しきれない場合は、住民税から控除可能

基本的には、住宅ローン控除は所得税に対する税額控除となります。
しかし、所得税の税額が少ない場合、控除しきれなかった分の金額を住民税から控除することが可能です。
(なお、個人事業主の場合、個人事業税に対しては控除が出来ません)

ただし、住民税の控除に使える住宅ローン控除には上限額があるため注意が必要です。
所得税の控除で使い切れなかった分全てを住民税の控除に回せるわけではありません。

  • 平成26年~令和3年に居住開始
    課税所得の 7% (ただし、上限額は 136,500円 )
  • 令和4年以降に居住開始
    課税所得の 5% (ただし、上限額は 97,500円 )

上記の条件で住民税から控除できる上限額が決まります。

2-1. 具体例

居住開始日:令和4年12月
年末ローン残高:30,000,000円
控除可能額:210,000円

上記の住宅ローン控除の条件の場合、控除可能額は課税所得によって次の3つのケースが考えられます。

  1. 所得税が大きいため、所得税から全額控除できるケース
    課税所得:4,000,000円
    所得税:372,500円
    住民税:400,000円
    ※住民税は課税所得の10%で概算上記の課税所得の場合、住宅ローン控除可能額は…所得税額控除額:210,000円
    住民税額控除額:0円
    控除可能合計額:210,000円
  2. 所得税で控除しきれない分を住民税から控除し、無駄なく控除できるケース
    課税所得:2,500,000円
    所得税:152,500円
    住民税:250,000円
    ※住民税は課税所得の10%で概算上記の課税所得の場合、住宅ローン控除可能額は…所得税減税額:152,500円
    住民税減税額:57,500円
    控除可能合計額:210,000円
  3. 住民税の上限額に引っ掛かり、控除できない金額が発生するケース
    課税所得:2,000,000円
    所得税:102,500円
    住民税:200,000円
    ※住民税は課税所得の10%で概算上記の課税所得の場合、住宅ローン控除可能額は…所得税減税額:102,500円
    住民税減税額:97,500円 (上限額:課税所得2,000,000×5%=100,000円 > 97,500円)
    控除可能合計額:200,000円
    (住民税の控除上限額に引っ掛かり、10,000円分が控除できず、切り捨てになる)

まとめ

  • 住宅ローン控除を所得税で控除しきれなくても、住民税の控除が受けられることがある

出典

国税庁|No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)

宇和島市|個人住民税における住宅借入金等特別税額控除(住宅ローン控除)


住宅ローン控除が所得税から控除しきれない場合