美容室スタッフへの給与のデジタル払いについて

給与のデジタル払いについて、先日テレビやネットで耳にしたという方も
多いのではないでしょうか。
時代がめまぐるしく変わる昨今の世の中で、ついに給与も銀行口座への振り込みではなく、
●●Payなどで支給することができるようになりました。
「ただ、実際のとこ周りにはいないみたいだし・・・」と考えている方も
いらっしゃるかもしれませんが、スタンダードが確実に変わっている現代で、
全く知らない・・・ということがないように、そもそもデジタル払いとはなんなのかを知っておきましょう。

 目次

1. デジタル払いとは
2. デジタル払いのメリット
3. デジタル払いをおこなう方法

1. デジタル払いとは

そもそも労働基準法では、賃金は現金払いが原則です。しかし労働者が同意した場合、銀行口座などへの賃金の振り込みが認められてきました。
昨今のキャッシュレス決済の普及や、送金手段の多様化のニーズに対応するため、労働者が同意した場合には、
厚生労働大臣が指定した資金移動業者(●●Payなど)の口座への賃金支払いも認められることになりました。
これがいわゆるデジタル払いです。

2. デジタル払いのメリット

① 従来の銀行振込よりも手数料が安くなる可能性あり
一般的には●●Payなどの口座の送金手数料は銀行口座への振込手数料に比べて安く設定がされている場合が多く、
切り替えることで会社としてメリットを受けられる可能性があります。

② 柔軟な支払方法による労働者側からの好印象
会社がきちんと時代に合わせて労働者目線で変わっていっているという姿勢は、働いている労働者にとって
信頼感に結び付くものとなります。
特に若い方についてはお財布の中にあまり現金をみかけないこともあるそうで、キャッシュレス決済を
フルで活用している方が多い印象です。
支払い方法の変更により労働者側の便利さ向上が見込めます。

3. デジタル払いをおこなう方法

「実際にデジタル払いをおこなうにはどうすればいいのか」というところですが、
やはりお金に関わる重要な部分となりますので、各種手続きが必要になってきます。

① 厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者の確認
② 導入する指定資金移動業者のサービスの検討
③ 労使協定の締結
賃金のデジタル払いを導入するにあたり、労働組合と、または労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は
労働者の過半数を代表する者と、労使協定を締結する必要があります。

※労使協定に以下の事項を記載する必要あり
※厚生労働省ウェブサイトに労使協定例を掲載
(1)対象となる労働者の範囲
(2)対象となる賃金の範囲とその金額
(3)取扱指定資金移動業者の範囲
(4)実施開始時期

④労働者への説明

賃金のデジタル払いを希望する労働者に対して必要事項を説明してください。

⑤ 労働者の個別の同意取得
労働者から個別の同意を得てください。

⑥ 賃金支払いの事務処理の確認・実施

4. よくある質問

Q1:労働者は、必ず賃金のデジタル払いで受け取らなければならず、銀行口座等で受け取ることができなくなるのでしょうか。
A1:賃金のデジタル払いは、賃金の支払・受取の選択肢の1つです。 労働者が希望しない場合は賃金のデジタル払いを選択する必要はなく、これまでどおり銀行口座等で賃金を受け取ることができます。また、使用者は希望しない労働者に強制してはいけません。 賃金の一部を資金移動業者口座で受け取り、残りを銀行口座等で受け取ることも可能です。 

Q2:労働者が賃金のデジタル払いを希望した場合、使用者は必ず応じなければならないのでしょうか。
A2:賃金のデジタル払いは、賃金の支払・受取の選択肢の1つです。労働者のみならず、使用者に対しても導入を強制するものではありません。 各事業場において、賃金のデジタル払いを導入する場合には、まず使用者と労働組合又は労働者の過半数を代表する者との間で労使協定を締結し、その上で、希望する労働者の同意を得て実施するものです。(詳細は「賃金のデジタル払いを開始するために、事業場で必要な手続きを教えてください。」の回答もご覧ください) このため、賃金のデジタル払いに関する労使協定が締結されていない事業場において、労働者が賃金のデジタル払いを希望する場合は、まず労使協定の締結をするかどうか(その事業場で、希望者への賃金のデジタル払いを実施するかどうか)について、使用者と労働組合又は労働者の過半数を代表する者との間で話し合いをお願いします。

Q3:万が一、指定資金移動業者が破綻した場合、アカウント残高は消えてしまうのでしょうか。
A3:厚生労働大臣の指定する資金移動業者が破綻した場合には、賃金受取に用いる口座の残高が保証機関から速やかに弁済されます。 具体的な弁済方法は、資金移動業者ごとに異なりますので、賃金のデジタル払いを選択する際にご確認ください。

まとめ

キャッシュレスな時代に入り、今一度給料の支給方法も見直すフェーズに来ているかもしれません。まずはお店のスタッフに普段の決済方法などを聞いてみてはいかがでしょうか。会社と労働者の双方にメリットが生まれるように、支給方法もアップデートしていければいいですね。

出典

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03_00028.html(厚労省)