個人事業主や法人の代表などの場合、自宅が賃貸で家賃を経費に計上したい方は多くいらっしゃるかと思います。
結論、自宅賃貸の家賃の経費計上は可能です。
今回はそのために必要な手続きや準備について解説します。
目次
1.個人事業主の場合
個人事業の場合、自宅でも仕事をしていれば、家賃を経費に計上することが可能です。
ただし、支払った家賃を全額経費計上することは難しいです。
個人事業の場合、事業とプライベートの両方に関連する支出については、事業に関連のある部分については経費に計上することができます。
そのためプライベートで利用している割合と事業に利用している割合を予め決めておき、事業利用分を経費に計上します(いわゆる家事関連費)。
割合の決め方として下記の具体例が挙げられます。
・面積で決める
書斎の一室を事務作業用に使っており、その面積は全体の1/4ほど
そのため家賃の25%を経費として計上する
・利用時間で決める
毎日12時間は家で作業を行っている
そのため家賃の50%を経費として計上する
なお税務調査が入って説明を求められた場合、事業利用分を説明する根拠資料や計算資料が必要になります。
また、家賃以外にも自宅光熱費・更新料・手続きの手数料・駐車場代なども同じように経費計上が可能です。
2.法人の場合
法人の場合、賃貸の契約の名義を法人名義にして社宅扱いにすることで経費計上が可能です。
(なお、個人事業から法人成りをして、名義を個人から法人に切り替える際に、大家さんによっては新たに契約金を請求される可能性があります)
賃貸契約の名義が会社ですから、社宅家賃はいったん全額を会社から支払いますが、社宅に住む従業員に一定の金額を賃借料相当額として負担させる必要があります。
たいていの場合、毎月の役員報酬や給料から社宅の本人負担分を天引きする形で徴収します。
なお、この本人負担分については法人の収入に該当するため、最終的に経費になるのは、支払った家賃から本人負担分を差し引いた金額になります。
社宅に住んでいるのに本人負担分を徴収しない場合は、賃借料相当分は給与として課税されるため注意が必要です。
なお、一般の社宅の場合、賃借料相当額は下記の①~③の合計額となります。
- (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×2%
- 12円×(その建物の総床面積(平方メートル))/3.3(平方メートル))
- (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×11%
上記の計算を行うための資料を揃えるのは手間がかかります。
実務上は、家賃の50%以上を賃料相当額として徴収していれば問題は無いため、家賃の半額を本人に負担させることが多いです。
個人事業の場合の自宅とは異なり、更新料や仲介手数料は全額経費計上可能ですが、あくまで住宅ですので、光熱費などは住んでいる本人の負担となります。
(社宅の水道光熱費は居住のための支出であり、入居者が負担すべきと考えられるため)
3.持ち家の場合
住宅を購入した場合は、居住用の購入であれば経費にはなりません。
しかし、要件を満たしていれば住宅ローン控除を使って節税が可能です。
まとめ
- 個人事業の場合、適切な割合を決めて家賃を経費計上するとお得
- 法人の場合、法人名義で契約して社宅扱いにしたうえで経費に計上する
- 持ち家の場合、住宅ローン控除を使って節税