少額減価償却資産とは?特例の対象と通常の減価償却との違いも解説

少額減価償却資産とは?特例の対象と通常の減価償却との違いも解説

固定資産の中でも購入金額によっては償却方法を選ぶことができます。
償却方法は通常の償却と合わせて3つ方法があり、今回はそのうちの1つで10万円以上30万円未満の固定資産を購入した際に使える『少額減価償却資産の特例』について解説していきます。

  1. 少額減価償却資産の特例とは
  2. なぜ減価償却を行う必要があるのか
  3. 購入金額の判定について

少額減価償却資産の特例とは

10万円以上30万円未満の固定資産を支払った事業年度で全額費用にできる制度です。この制度には青色申告であること従業員数500人以下資本金または出資金の額が1億円以下、また1年間の上限額が300万円と様々な適用要件はありますが、活用すれば節税対策にもなるため必ず知っておきたい制度となっております。

美容室の場合、美容機器をはじめ、セット面、シャンプー台、パソコン、タブレット等を購入する機会があるかと思いますが、このとき購入金額が10万円以上30万円未満であれば、少額減価償却資産の特例が適用されます。必要に応じてうまく活用していきましょう。

例:25万円の美容機器を購入した場合

減価償却方法は以下の2つから選ぶことができます。

1.少額減価償却資産の特例

適用すると25万円全額を購入した事業年度の費用にできます。

2.通常の減価償却

美容機器は耐用年数が5年であるため、購入時期から5年かけて費用にしていきます。単純計算で年間5万円ずつ費用にしていきます。

少額減価償却資産の特例通常の償却の選び方

2つの選択肢があることはご理解いただけたと思いますが、どちらの方法を選ぶのが良いか、判断基準を収入・支出の面を基に説明します。

黒字見込みの場合

少額減価償却資産の特例を選択と支払った事業年度で全額を費用に入れることができ、当期の利益を減らして税額を抑えられます。

赤字見込みの場合

少額減価償却資産の特例を選び、全額を費用にしても赤字であれば、所得に対してかかる税金に関しては税額が変わらないため、通常の償却を選ぶケースが多いです。

会社の状況にもよってくるため、どちらを選択するかは税理士に相談の上決めることをオススメいたします。

購入金額の判定について

10万円以上30万円未満と繰り返していますが、30万円未満の判定には2点注意が必要です。

注意点1:取得価額(取得価格)

取得価額(取得価格)とは、本体代価に付随費用(手数料や設置費用など)を加えた金額のことを指します。

仮に本体29万円の美容機器を購入しても、設置費用等を合わせて30万円を超えてしまった場合、通常の償却しか適用できなくなってしまいます。

注意点2:消費税の会計処理方法について

経理方式を税込経理、税抜経理どちらを適用しているかによって、金額の判定も異なります。

税込経理の場合⇒税込30万円未満

税抜経理の場合⇒税抜30万円未満

まとめ

美容室の場合10万円以上30万円未満の固定資産を購入する機会も多いかと思います。今回取り上げた制度をうまく活用して節税対策に繋げていきましょう。


少額減価償却資産とは?特例の対象と通常の減価償却との違いも解説