法人を設立した際に必要な届出は?・税務編

法人設立の際に必要になる届出を解説(税務編)

美容室を開業する際はまず、個人事業として開業する方が大半を占めると思います。
そして開業して数年後、規模の拡大に併せて法人化を検討したいとのご相談を弊社では多くいただいております。
そのご相談の中で「どのような手続きが必要なのか」というご質問を多くいただきます。
法人化に伴ってやらなくてはいけない手続きは登記に関するもの、税務に関するもの、社会保険に関するものなど多岐にわたります。

今回は税務に関係する手続き、特に税務署などに提出する書類の概要と提出期限などについて触れていきたいと思います。

目次

  1. 電子申告開始届
  2. eLtax利用開始届
  3. 法人設立届出書(国税)
  4. 法人設立届(地方税)
  5. 青色申告の承認申請
  6. 給与支払事務所等の開設届出書
  7. 源泉所得税の納期の特例に関する申請
  8. まとめ
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1. 電子申告開始届

e-Taxを始めて利用する人(法人)が利用者識別番号を取得するための手続きになります。
利用者識別番号とは、e-Taxで電子申告をするために必要な16桁の番号で、利用者本人を確認するためのものです。

電子申告開始届は必ず提出しなくてはならない決まりはありません。
(資本金が1億円未満の法人については電子申告が義務化されているため、提出が実質義務化されています)
しかし、開始届を提出しないと、税務関係の届出書や申告書を全て郵送もしくは持ち込みで提出することになります。

法人設立した場合は最初に電子申告開始届を提出して利用者識別番号を取得した後、法人設立届などの必要書類を電子で提出するのが一般的な流れとなります。

2. eLtax利用開始届

電子申告開始届出の地方税版です。
こちらも電子申告開始届出は必ず提出しなくてはならない決まりはありません。
(資本金が1億円未満の法人については電子申告が義務化されているため、実質提出が義務化されています)

eLtaxに登録することで、都道府県や市区町村に提出する法人設立届出書を電子で提出することが可能になります。

3. 法人設立届出書(国税)

法人を設立してから2か月以内に、所轄税務署に提出をしなくてはならない届出書です。
主な記載内容としては、納税地・設立年月日・法人名・法人番号・事業年度・資本金・事業の目的等があります。

4. 法人設立届出書(地方税)

納税地を管轄する県税事務所および市区町村にそれぞれ提出しなければなりません。
美容業を例に挙げると、本店が埼玉県川口市にあり、他にも店舗を埼玉県戸田市に構えていたとします。
その場合、埼玉県川口市を管轄する川口市県税事務所、そして川口市と戸田市に届出を提出する必要があります。

なお、自治体によって提出期限が異なりますので注意が必要です。
主な記載内容は税務署に提出する法人設立届出書と変わりありませんが、様式は若干異なります。

5. 青色申告の承認申請

青色申告の承認を受けるために必要な届出書になります。
法人設立日の3か月以内に提出する必要があります。
提出が遅れると設立初年度において青色申告の特典が使えなくなってしまいます。
具体的には、青色申告の場合に認められている欠損金の10年間の繰越控除や、単価30万円未満の固定資産の一括費用計上などが出来なくなってしまいます。

6. 給与支払事務所等の開設届出書

役員や従業員に報酬、給与を支払う場合にこの届出書の提出が必要になります。
提出期限は従業員を雇う事務所を開設した日から1か月以内となります。
提出が遅れることによるペナルティなどはありませんが、必ず提出しなくてはなりません。

7. 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請

役員報酬や給与を支給した際に給与から徴収した源泉所得税は、原則、徴収した日の翌月10日までに納付をしなくてはなりません。
しかし、給与の支給人員が常時10人未満であれば、7月と1月に半年分をまとめて納付することができるという特例があります。
特例を受けるためには「納期の特例の承認に関する申請書」を事前に提出する必要があります。

まとめ

届出書1つ1つの記載事項は決して多いわけではありませんが、提出する種類も多く、提出した届出の内容について税務署などから確認の連絡がくるケースもあります。

本業に集中したい方は届出書の作成や提出まで税理士に依頼されるのも良いでしょう。

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