給与所得控除ってよく聞くけどなんだろう?103万の壁も解説【所得税】

給与所得控除、と言われてもすぐには、ぴんと来ないかもしれません。
けれど、給与収入を得ている人(給与所得者)であれば、皆さんに関連するものです。
普段あまり意識していないサラリーマンの方は、是非ご覧になってみてください。

目次

  1. 給与所得控除とは
  2. 給与収入と給与所得の違い
    1. 給与収入
    2. 給与所得
  3. 103万の壁
  4. 個人事業主との違い
  5. まとめ
  6. 出典・参考サイト

1. 給与所得控除とは

給与所得控除とは、給与収入を得ている人(給与所得者)が受けられる制度で、所得税の課税対象となる「給与所得」を計算する際に用いられます。
給与所得控除は下記の表の通り、1年間の給与収入の金額に応じて一定額が控除されます。

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
1,625,000円まで 550,000円
1,625,001円から 1,800,000円まで 収入金額×40%-100,000円
1,800,001円から 3,600,000円まで 収入金額×30%+80,000円
3,600,001円から 6,600,000円まで 収入金額×20%+440,000円
6,600,001円から 8,500,000円まで 収入金額×10%+1,100,000円
8,500,001円以上 1,950,000円(上限)

※令和2年分以降

サラリーマンの経費のようなもの、とイメージするとわかりやすいかもしれません。

2. 給与収入と給与所得の違い

①給与収入

給与収入とは、いわゆる「額面」を指します。
賞与の支給がある場合は、賞与も給与収入に含まれます。

②給与所得

給与所得は①給与収入から、「給与所得控除」を差し引いた後の金額です。

例えば、給与と賞与の1年間の合計額(給与収入)が400万円の場合であれば、次のように計算します。

①給与収入400万円-給与所得控除124万円=②給与所得276万円

「給与所得の源泉徴収票」にも、それぞれの金額が記載されています。
①給与収入は「支払金額」、②給与所得は「給与所得控除後の金額」欄の金額です。

令和 年分 給与所得の源泉徴収票(令和5年分以後用)|国税庁

なお、複数の会社に勤務している場合や、年の途中で転職した場合など、複数の勤務先からの給与収入がある場合は、合計した給与収入をもとに給与所得控除の金額を計算します。

3. 103万の壁

パートやアルバイトで働く場合の収入の目安として「103万の壁」というのを聞かれたことがあるかと思います。
ここで言う103万円は給与収入の金額を指し、壁というのは所得税がかかるかどうかのラインのことです。
なぜ103万円なのか、には「給与所得控除」が関係してきます。

1の表にもあるとおり、給与所得控除の最低金額は55万円です。
所得税の課税対象となるのは、給与収入から給与所得控除を差し引いた給与所得の金額から、更に所得税の基礎控除48万円を差し引いて計算します。
給与所得控除55万円+基礎控除48万円=103万円ですから、給与収入が103万円以下であれば、所得税がかかる所得が発生しない、ということになります。

103万円の壁と並んで話題になる「130万円の壁」については関連記事をご参照ください。

130万円の壁、美容室も関係あるの?

4. 個人事業主との違い

個人事業主は給与所得控除の適用はありません。
給与所得控除はあくまで、給与収入のある人(給与所得者)が対象です。
個人事業主は給与所得ではなく、事業所得が課税の対象となりますが、そもそも事業所得は収入(売上)から必要経費を差し引いて計算します。
加えて、青色申告の承認を受けていて要件を満たせば、最大65万円の青色申告特別控除の適用が可能です。

まとめ

給与所得控除が理解できると、給与収入と給与所得の違いも理解できるかと思います。
次回、源泉徴収票を見るときに、少し見方が変わるかもしれません。

出典・参考サイト

No.1410 給与所得控除|国税庁