美容師さんにおける出産と育児

出産・育児に伴う手当金

美容室のオーナーさんからの質問で多いのが、従業員さんの出産・育児にまつわるプロセスです。
出産・育児を迎えるにあたり、どのような社会保険の補償が受けられるのか解説していきます。

目次

  1. 出産手当金
  2. 出産育児一時金
  3. 育児休業給付金
  4. その他の優遇措置

1. 出産手当金

社保加入の美容室で産前(予定日含む42日前)・産後(8週間以内)期間にもらえる最初の手当が出産手当金です。
勤務先で健康保険などに加入している被保険者本人が対象です。

健康保険の扶養に入っている方、国民健康保険(美容国保・理容国保を含む)の被保険者の方は残念ながら出産手当金の制度はありません。

ちなみに出産手当金を受給する前に退職して健康保険の被保険者でなくなると、出産手当金は受けられません。
以下の条件に当てはまれば健康保険の被保険者の資格喪失後も、出産手当金を受けることができます。

  • 退職などで資格を失う日の前日までの被保険者期間が継続して1年以上ある(健康保険の任意継続の被保険者期間を除く)
  • 退職などで資格を失う日の時点で、出産手当金を受けている、または受けられる状態にある

2. 出産育児一時金

出産育児一時金を受給できるのは、健康保険などの被保険者・ならびにその被扶養者・国民健康保険の被保険者です。
出産育児一時金が意味する「出産」とは、妊娠4ヵ月以上の出産です。
この条件に当てはまれば、生産(早産)・死産(流産)・人工妊娠中絶も対象となります。

令和5年4月1日以降の出産は1児につき50万円の一時金が支給されます。

3. 育児休業給付金

次に受け取れる給付金は育児休業給付金になります。
こちらは雇用保険からの給付となります。
ちなみに育児休業期間は、前述の産後終了翌日から1歳の誕生日の前日までになります。
1歳未満(子どもが1歳の誕生日を迎える前々日まで)の子を養育する労働者が、事業主に申し出ることにより休業できる制度です。

育休手当を受給できるのは、雇用保険の被保険者で、後述の要件を満たし、1歳未満の子どもを育てるために育児休業を取得する方です。
保育所に入所できないなどの理由で職場復帰ができない場合は、子どもが1歳6ヵ月に達する日の前々日まで、子どもが1歳6ヵ月に達する日以後も職場復帰ができない事由がある場合は、最長で子どもの2歳の誕生日の前々日まで、育休手当の支給対象期間を延長できます。

  • 育児休業開始前2年間に賃金支払基礎日数11日以上の完全月が通算12カ月以上あること

雇用保険における賃金支払基礎日数とは、基本給の支払い対象になっている日数を指します。
完全月は、2つ以上の事業所で通算することができます。
具体的には、離職日の次の日が再就職日から数えて1年以内で、失業手当などを受給していないときに通算できます。

  • 育児休業期間中の1ヵ月ごとに、育児休業開始前6ヵ月における1カ月あたりの賃金の8割以上の賃金が支払われていないこと。1カ月ごとに10日以下(10日を超える場合は80時間以下)であること。当たり前ですが育児で休業している為、働く事はない事と思われます。

4. その他の優遇措置

  • 産休中の社会保険料の免除
    産前産後休業保険料免除制度という制度により、産休中は健康保険料・厚生年金保険料の支払いが免除となります。
    保険料が免除される期間は、産休開始日が属する月から産休終了予定日の翌日が属する月の前月です。
    免除期間中も被保険者のままとなり、厚生年金においては保険料を納めた期間になります。
  • 育休中の社会保険料の免除
    育児休業保険料免除制度という制度により、育休中も健康保険料・厚生年金保険料の支払いが免除されます。
    保険料が免除される期間は、育休開始日が属する月から終了予定日の翌日が属する月の前月です。
    免除期間中も被保険者のまま、厚生年金は保険料を納めた期間になります。

出産・育児に伴う手当金