美容室に年金事務所の調査が入ったら… 慌てず対応するためのポイント

特に年金事務所の調査が多いのは、開業2年くらいの美容室です。
日本年金機構の○○年金事務所長からお店に通知書がきます。

この調査、そもそも対応する必要があるのかというと、無作為に選ばれた事業所に対する任意の調査になりますが、調査に応じない場合は、罰則が適用されて6か月以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられる場合がありますので、素直に調査に応じることをお勧めいたします。

目次

  1. 主な提出書類
  2. 加入漏れについて
  3. 報酬に関する届出漏れについて
  4. まとめ
  5. 出典・参考サイト
  6. 関連記事

1. 主な提出書類

以下の書類が主な提出書類になります。

  • 源泉所得税領収証書
  • 賃金台帳
  • 出勤簿
  • 労働者名簿・雇用契約書
  • 就業規則、賃金規程等
  • 登記事項証明書など

上記の書類を確認しながら、本来社会保険に加入しなければならない方の取得手続きが漏れていないか?加入されている方の報酬額(標準報酬月額)が正しく申請されているか?を確認していきます。

2. 加入漏れについて

まずは、本来加入しなければならない方の社会保険への加入漏れがないかを確認していきます。
提出した労働者名簿をもとに他の書類を照合していきます。
特に社会保険に加入されていない方の賃金台帳、出勤簿、雇用契約書を重点的に確認していきます。
もし、加入漏れがあった場合は最大2年間遡って加入の手続きを行うことになります。

3. 報酬に関する届出漏れについて

次に、報酬に関する届出漏れを確認していきます。
社会保険料を算出する際に必要な標準報酬月額を決定する届出が適正に行われているか賃金台帳を見ながら確認していきます。

報酬に関する届出は以下の種類があります。

  1. 資格取得時決定
    従業員さんが入社された際に行う手続きです。
    散見される指摘事項は、報酬額に1か月分の交通費が含まれていないケースがあります。
    また、実際に支給される給与額より低い金額で届け出ているケースです。
    この場合は入社時に遡って修正した報酬額をもとに保険料が再計算されます。
  2. 定時決定
    毎年7月に加入者全員の4・5・6月に支給した給与額を届出します。
    歩合給や残業手当を含めた支給総額で届け出る必要があります。
  3. 随時改定
    この手続きが最も漏れやすいです。
    別名「月変」げっぺんと呼ばれる手続きです。
    固定的賃金が変動した月から3カ月間の支給額をもとに算出した平均賃金を標準報酬月額表へ当てはめ、2等級以上の差があった場合に届出を行うものです。
    定期代の金額が変更になっても固定的賃金の変動にあたりますのでご注意ください。
  4. 賞与の届出
    こちらの手続きも忘れがちな手続きの一つです。
    賞与を支給した際はワンセットで「賞与支払届」まで行ってください。

まとめ

年金事務所の調査について解説しました。

もし取得漏れや報酬の届出漏れが指摘された場合、最大2年間遡って届出を行う必要があります。
その場合、事業主負担分の保険料を追加で納めることも大変ですが、従業員から自己負担分の社会保険料を追加で徴収する必要が出てきます。

せっかく事業をまじめに行っていても社会保険の手続きを怠ったばかりに従業員の信頼を失いかねません。
普段から適正な手続きを心掛けける必要があるかと思います。

出典・参考サイト

厚生年金保険・健康保険などの適用促進に向けた取組 |日本年金機構

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