美容室で新卒採用したアシスタントを一人前に育てるためには、日々の技術研修が必要不可欠です。
その点でオーナーさんにおいては大変なご苦労があるかと存じます。
そういった専門的な技術研修を社内または社外の研修機関で行う場合、その経費や人件費の一部を補填してくれるのが人材開発支援助成金です。
以前はキャリアアップ前の有期契約社員の時期に行った研修を助成してくれるのは、この「人材開発支援助成金>人材育成支援コース>有期実習型訓練」がメインでしたが、
改正があり、人材育成訓練においても有期契約労働者に実施した技術研修を助成してくれるようになりました。
有期実習型訓練は申請要件が厳しく、OJT(職場内訓練)を実施した場合には、都度受講者に日誌を書かせなければならないため非常に受給が難しい助成金でした。
今回改正した人材育成訓練は、OFF-JT(事業場外訓練)を10時間以上行えばよく、非常に申請のしやすい助成金になりました。
それでは、「人材開発支援助成金>人材育成支援コース>人材育成訓練」について解説していきます。
目次 |
1. 基本要件
- 訓練対象者
申請事業主に雇用される労働者で、雇用保険に加入されている方 - 基本要件
OFF-JTにより実施される訓練であること(事業場内訓練または事業場外訓練)
実訓練時間が10時間以上であること
基本的な要件は以上になります。
OFF-JT(OFF the Job Training)とは事業場外訓練といい、サロンの営業活動とは別に行う、サロン外で実施する訓練になります。
ただし、サロン内で実施する場合も一定条件を満たせば受給できる可能性があります。
2. 申請プロセス
- 職業能力開発推進者の選任
- 事業内職業能力開発計画の作成・労働者への周知
- 職業訓練実施計画届(助成金の提出様式)
- 計画に沿った訓練の実施
- 支給申請
申請プロセスについては、上記のとおりになります。
訓練計画の提出については、訓練開始日の1カ月前には労働局への届出が必要になります。
その後、労働局の問合せに対して補足資料の提出などを求められ、訓練認定を労働局から得た後に、訓練開始となります。
訓練実施後、訓練終了日から2カ月以内に支給申請を行います。
3. 注意点
特に間違いやすい注意点を列挙していきます。
- 社内の社員または役員を講師にする場合は10年以上の実務経験が必要
- 訓練カリキュラム以外の日に実施した訓練は不支給
(実施する前に変更届を出してください) - 訓練予定時間の8割以上を実際に受講していなければ不支給
- 訓練計画などにキャリアコンサルティングを実施する旨の記載を入れる
- 訓練実施は所定労働時間内に行うこと
などがあります。
しっかりと厚生労働省のサイトを確認してください。
4. 助成額
支給対象となる訓練 | ①経費助成率 | ①で賃金要件または資格要件を満たす場合 | ②賃金助成 | ②で賃金要件または資格要件を満たす場合 | |
人材育成訓練 | 雇用保険被保険者(有期契約労働者等を除く。)の場合 | 45% (30%) |
+15% | 760円 (380円) |
+200円 (+100円) |
有期契約労働者等の場合 | 60% | +15% | |||
有期契約労働者等を正規雇用労働者等へ転換した場合 | 70% | +30% |
※( )内は中小企業以外の助成額・助成率
※厚生労働省ホームページを基に作成
主に、賃金助成と経費助成の2つになります。
まとめ
この助成金の対象となる訓練は所定労働時間内に実施する必要があります。
訓練を実施している美容室の中には営業時間終了後に訓練を実施されているケースも多々あります。
その場合はこの助成金の対象外になってしまいます。
昨今の求人難を乗り越える1つの方策として、このような制度を利用し、アシスタントの技術研修を所定労働時間内で実施することをご検討されてはいかがでしょうか。