老後の年金だけじゃない!万一のために知っておきたい障害厚生年金について

打ち合わせなどで美容室に訪問した際、オーナー様からよくお伺いするのが、
「年金は今後いつからもらえるかわからないから厚生年金を払うのはばかばかしいよね」
「年金いらないから厚生年金加入しなくてもいい?」というものです。

実は、厚生年金保険では65歳以降に年金がもらえるという老齢厚生年金のほかに、加入している方が障害者になった場合、その障害の重さに応じた障害厚生年金が支給されます。

「障害」と聞くと生まれつきの発達障害や身体障害をイメージする方が多いかと思いますが、実は美容室の従業員さんに最近増えてきている「うつ病」などの病気が原因で働くことができなくなった場合にも支給されます。

今回は「障害厚生年金」について解説していきます。

目次

  1. 障害厚生年金とは
  2. 障害厚生年金の受給条件
  3. 障害厚生年金の種類
  4. まとめ
  5. 出典・参考サイト
  6. 関連記事

1. 障害厚生年金とは

前述のとおり、厚生年金保険には65歳以降受給できる老齢厚生年金と、障害を受けた場合に受給できる障害厚生年金があります。

2. 障害厚生年金の受給条件

以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。

  1. 障害の原因となる病気やけがの初診日において、厚生年金保険の被保険者であること。
  2. 障害の状態が、障害認定日に、障害等級表に定める1級から3級のいずれかに該当していること。ただし、障害認定日に障害の状態が軽くても、その後重くなったときは、障害厚生年金を受け取ることができる場合があります。
  3. 初診日の前日に、初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間(厚生年金保険の被保険者期間、共済組合の組合員期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あること。
    ただし、初診日が令和8年4月1日前にあるときは、初診日において65歳未満であれば、初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっています。

まとめると、厚生年金に加入していて、障害等級3級以上で、保険料の納付要件を満たせば障害厚生年金を受けられることになります。

3. 障害厚生年金の種類

障害厚生年金は、重い方から順に1級、2級、3級と区別しており、それぞれの傷病について、どの程度の症状があれば、どの等級に該当するのかが、「障害認定基準」で定められています。
各等級の目安は以下の通りです。

  • 1級
    常に誰かの介助がなければ生活ができない程度
  • 2級
    日常生活に著しい支障が生じており働くことが難しい程度
  • 3級
    仕事に著しい支障が生じている程度

まとめ

美容室に最近多い「適応障害」や「うつ病」についてもこの「障害厚生年金」3級に該当する可能性があります。
3級の要件にもあるように障害認定日において労務不能の医師の判断があれば受給できる可能性があります。

実際の認定は日本年金機構(厚生労働大臣)が行うことになります。
厚生年金保険については、老齢年金だけでなく、障害に対するリスクをヘッジする手段として検討してみる必要があるかもしれませんね。

出典・参考サイト

障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額|日本年金機構

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