【入門編】初めての給与の計算で押さえておくべきポイント3つ【給与計算シリーズ】

開業して間もない美容室オーナーが、疑問に思うことの上位の一つに、従業員の給与の計算方法があります。
「今まで給与明細も見たことないよ」というお声もよく聞きます。

実はこの給与計算方法ですが、いろいろな要素(データ)を確認しながら最終的に完成させなければならない複雑な書面になります。
今回は、給与計算を行うにあたり、準備すべきものを解説していきます。

目次

  1. 給与計算とは
    1. 給与を構成する要素
    2. 給与計算の流れ
  2. 支給金額の確定
    1. 就業規則および給与規程
      1. 就業規則の確認事項
      2. 給与規程の確認事項
    2. 個別の雇用契約書
    3. 出勤簿
  3. 控除金額の確定
    1. 健康保険料
    2. 厚生年金保険料
    3. 雇用保険料
    4. 住民税
    5. 所得税
  4. まとめ
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1. 給与計算とは

1-1. 給与を構成する要素

そもそも給与額とは

支給金額-控除金額=差引支給額

で求められます。

支給金額については、固定されているもの(基本給・管理職手当・住宅手当・通勤費)と変動するもの(時間外手当・歩合給)に分かれております。
適用される法律は労働基準法で、各支給項目についての注意点、特に時間外手当・休日労働の手当などについては詳細に規定されております。

控除金額については、固定されているもの(健康保険料・厚生年金保険料・住民税)と変動するもの(雇用保険料・所得税)があります。

1-2. 給与計算の流れ

  1. 支給額を確定する
  2. 健康保険・厚生年金・雇用保険・住民税を控除する
  3. 最後に源泉所得税を計算する

2. 支給金額の確定

2-1. 就業規則および給与規程

就業規則と給与規程でそれぞれ下記の事項を確認します。

就業規則の確認事項

  • 労働する日はいつなのか
  • お休みの日
  • 1日の労働時間

給与規程の確認事項

  • 基本給などの定義を確認
  • 時間外手当の計算方法
  • 遅刻早退欠勤時の控除方法を確認

もし、規程がない場合は労働基準法が適用されますので、労働基準法の適用条文を確認し計算を行います。

2-2. 個別の雇用契約書

実際の支給条件に合わせて計算していきます。

2-3. 出勤簿

出勤日数・有給休暇日数・出勤時間・欠勤日数・遅刻・早退時間数などを確認し、支給される手当から、割増手当額・遅刻などの控除額を確定していきます。

3. 控除金額の確定

3-1. 健康保険料

年金事務所から標準報酬額の決定通知が送られてきますので、その通知に記載されている標準報酬月額をもとに標準報酬月額表から保険料を決めてください。

令和6年3月分(4月納付分)からの標準報酬月額表

3-2. 厚生年金保険料

3-1の健康保険料と同様に、年金事務所から標準報酬額の決定通知が送られてきますので、その通知に記載されている標準報酬月額をもとに標準報酬月額表から保険料を決めてください。

令和6年3月分(4月納付分)からの標準報酬月額表

3-3. 雇用保険料

交通費を含めた支給総額に雇用保険料率をかけて算出します。
支給される金額によって保険料が変動します。
保険料率は毎年4月に変更になります。

令和6年4月からの雇用保険料率

3-4. 住民税

原則は給与から天引きして、会社で住民税を納付する必要があります。
従業員の住所地の各市町村へ異動届を提出いただき、各月の控除額を確認してください。

3-5. 所得税

支給額から社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険)を控除した金額をもとに国税庁の給与所得の源泉徴収税額表に当てはめて税額を確定していきます。
入社時に提出いただく、扶養控除等異動申告書を確認し、扶養親族等の数を確定してください。
扶養控除等異動申告書の提出があった場合は表中の「甲」の税金額になります。

令和6年からの源泉徴収税額表

まとめ

給与計算は、多岐にわたる法律が絡む難解なものです。
給与計算に関する書籍などを購入いただき、しっかりとマスターしていただければと思います。
給与計算ソフトなどを購入して計算されるケースも考えられますが、御社に合わせた設定がなされておらず、法律違反の計算結果で支給しているケースも散見されますので、しっかりと設定を行っていただければと思います。

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