昨今、給与の支給においては、2023年4月に給与のデジタル払いが解禁になり、様々な支払いかたが可能となりました。
美容室オーナーからも「PayPayで社員に給与を支払えますか?」などのご質問をいただきます。
今回は、給与の支払い方法の種類と注意点を解説していきます。
目次 |
1. 現金払い
給与(賃金)は従業員(労働者)の生活の重要な原資ですから、労働基準法でも「賃金支払いの5原則」が定められています。
賃金支払いの5原則
- 通貨払いの原則
- 直接払いの原則
- 全額払いの原則
- 毎月払いの原則
- 一定期日払いの原則
①の通貨払いの原則により、原則は現金で労働者に対して賃金を支払う必要があります。
小切手での給与支払いはOK?
以前「小切手で給与の支払いをしてもいいでしょうか?」という質問をいただいたことがあります。
会計上の仕訳を行うとき、確かに小切手は「現金」として仕訳をしますが、「通貨」で払うよう記載がありますので小切手はNGとなります。
2. 指定口座への振込
通貨払いの原則の例外として、指定の金融機関口座への振込があります。
但し、労働者の同意がないと指定口座への振込はできません。
この口座への振込を行う場合は、下記の3項目を実施する必要があります。
- 労使協定を結ぶ
- 口座振込同意書で同意を得る
- 賃金支払い日に給与明細を発行する
3. デジタル払い
デジタル払いとは、電子マネーで労働者に賃金を支払う方法です。
デジタル払いを行う場合は、厚生労働大臣が指定した資金移動業者を使って支払いを行う必要があります。
金融庁の資金移動業者とは異なりますのでご注意ください。
導入の流れは2.の指定口座への振込とほぼ同じです。
なおデジタル払いは、2024年8月現在、指定資金移動業者の審査などが行われている最中で、実際に労働者へのデジタル払いが行える明確な時期は公表されていません。
ご注意ください。
まとめ
給与(賃金)の支払いについては、労働基準法で厳しい規定があります。
「賃金支払いの5原則」をしっかりマスターいただき、労使協定や同意書など、漏れなく準備していただければと思います。
出典・参考サイト
賃金の支払方法に関する法律上の定めについて教えて下さい。|厚生労働省
資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について|厚生労働省