従業員を解雇できない解雇制限ケース2例

美容室オーナーからよく質問を受けるのが、

「業務中にケガをして休んでいる従業員がいるんだけど、社会保険の負担もあるのでいったん辞めさせることはできますか?」
「出産を控えている女性社員がいるんだけど産休に入るタイミングでいったん退職してもらうことは可能ですか?」

というものです。

実はこの2つのケース、いずれも会社から退職を言い渡すこと(解雇)ができないケースとなっております。
今回は、労働基準法で解雇ができない、解雇が制限される場合を解説していきます。

目次

  1. 解雇制限について(労働基準法19条)
    1. 業務上のケガや病気で労働者が休業しているケース
    2. 産前産後で休業しているケース
  2. まとめ
  3. 出典・参考サイト
  4. 関連記事

1. 解雇制限について(労働基準法19条)

オーナー様(事業主)から一方的に従業員をクビにするケースを労働基準法では「解雇」といいます。
「解雇」する場合には、要件が細かく決められておりますのでそのルールを守る必要があります。

今回の「解雇制限」が適用されるケースは、「解雇」が有効に成立しているにもかかわらず、さらに以下の2つのいずれかの場合についてはその間「解雇」ができません。(制限されます。)

1-1. 業務上のケガや病気で労働者が休業しているケース

従業員の方が業務中にケガや病気をして、会社を休んでいる期間については「解雇」できません。
また、会社へ復職したとしても復帰後30日間については「解雇」できません。

よく質問を受けるのは、通勤災害の場合は「解雇制限」を受けるのかどうかです。
適用されるのはあくまで勤務中のケガや病気が原因で休んでいる期間ですので、通勤災害でお休みしているケースは制限を受けません。

1-2. 産前産後で休業しているケース

女性労働者が、出産予定日前42日、出産後56日において会社をお休みしている期間、プラス30日間は解雇することはできません。
育児休業期間はこの「解雇制限」は適用されません。

まとめ

「解雇制限」については意外とご存じない方が多いルールです。

残念ながら従業員を「解雇」される場合には上記2つのケースに該当しないか、確認していただく必要があります。
但し、上記2つのケースに該当した場合でも天災事変その他やむを得ない事由によって事業を続けていくことができない場合で、所轄の労働基準監督署長の認定を受けた場合はこの「解雇制限」を受けることなく解雇することが可能となります。

昨今、「解雇」についてはご相談が多い項目となっております。
社員へ言い渡す前に十分準備していただき、無用なトラブルを未然に防いで頂ければと思います。

出典・参考サイト

労働条件:解雇、退職(解雇制限、解雇の予告、退職時の証明) | 徳島労働局

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