美容室で未払い残業代の請求を防ぐ方法

顧問先の美容室で給与明細を拝見すると、給与をすべて基本給で支給しているケースを多く見かけます。
この場合、1日の法定労働時間数の8時間を超過すると、記載されている基本給をもとに残業代単価を計算し、超過時間数に対して残業代の支払いが必要になります。

美容室においては休憩が取れないケースなどが多く、その分は基本給に含まれているなどと説明される方もいらっしゃいますが、給与明細に「基本給 30万円」と表記があればこの30万円をもとに残業単価を計算し、30万円のほかに残業代を出す必要があります。

では、どうしたら追加の残業代支払いを抑えることができるのでしょうか?
答えは「明細を「基本給」「固定残業代」へ分けて表記する」です。

例えば、週休2日、1日8時間労働の事業所(月の所定労働時間数173.3時間)の場合で計算すると

  • 基本給
    200,000円
  • 固定残業代(69時間相当分)
    100,000円
  • 支給合計
    300,000円

になります。
上記の表記へ変更することにより、未払い残業代の請求を防ぐことが可能です。

大事なことは「69時間相当分」という表記です。
社員の皆さんに残業代が69時間分ついていることを認識させなければなりません。

もちろん、69時間を超えて残業をさせた場合は、超過した分の残業手当を追加して支払う必要があります。
また、固定残業代を支給した時点で36協定の提出が必要になります。
併せて給与規程などへの明記を忘れずに行ってください。

御社の給与明細は大丈夫でしょうか。
従業員が退職後に未払い残業代を請求するケースが増加してきています。
これを機に見直してはいかがでしょうか。

出典元・参考サイト

労働時間・休日 |厚生労働省

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