美容室における完全歩合制の注意点

美容室オーナーからよく聞くのは、「うちの店では、給与は完全歩合制を採用しているが、問題はありませんか?」というものです。

完全歩合制とは、売上や成果に応じて報酬が支払われる制度です。
歩合制を労働基準法では「出来高払制」とされていますが、ポイントを押さえなければ違法とされる場合があります。
その注意すべきポイントを簡単に説明していきます。

完全歩合制が違法となるケース

完全歩合制が違法になるケースは労基法の規制によるものです。
ご存じの通り、労基法では労働者に対する最低賃金(最賃)が定められており、完全歩合制を採用している場合でも、この最低賃金の規定に適合させなければ違法とされてしまいます。
つまり、完全歩合制の報酬が最低賃金を下回った際が、労基法違反になるというかたちです。

では、最低賃金を下回らないようにするためには、どうすればよいのでしょうか。
答えは、「1ヶ月の総労働時間に、現時点の最賃を掛けて算出された金額を、上回る賃金を支払う必要がある」です。
また当然、1ヶ月の総労働時間も労基法の範囲内である事が前提です。

また、労働した時間に応じて一定額の賃金保障をする「保障給」が義務とされており、この保証給を下回ることも労基法違反となります。
この保証給の算出方法は労基法に決まりはないのですが、平均賃金の6割が目安とされています。
平均賃金は、原則として給与計算対象の労働月の以前3か月間に、その労働者に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数(暦日数)で割った金額です。

最低賃金と保障給(平均賃金の6割)のどちらか高い方を下回ると違法になります。

まとめ

歩合給は、努力や成果に応じて報酬が変動するため、美容師としてのモチベーションを高める効果があります。
一方で、勤怠をしっかり管理し、最低賃金と保障給(平均賃金の6割)を下回っていないかを確認することも重要です。

出典・参考サイト

最低賃金制度の概要|厚生労働省

関連記事

美容室特有の最低賃金の計算方法