美容室特有の最低賃金の計算方法

毎年9月頃になると美容室のオーナーさんから殺到するご質問が、「自社の従業員の賃金が新しい最低賃金額をクリアーするのか?」というものです。
賃金の最低基準について、最低賃金法(最賃法)で定められており、個別の労働契約などでこの金額を下回る契約を結んだとしても無効になります。
この最低賃金額はすべての労働者に適用され、パート・アルバイト・臨時雇い・正社員の種類を問いません。

今回は美容室に一番多い「月給」の場合と「月給+歩合給」の場合の計算方法を見ていきましょう。

目次

  1. 最低賃金の対象となる賃金
  2. 最低賃金のチェック方法
    1. 月給の場合
    2. 月給+歩合給の場合
  3. まとめ
  4. 出典・参考サイト
  5. 関連記事

1. 最低賃金の対象となる賃金

最低賃金の対象となるものは、通常労働した場合に支給される賃金に限定されています。
例えば基本給や諸手当など「所定内給与」と呼ばれている項目です。

ただし、以下の項目については計算する際に賃金から除く必要があります。

  1. 臨時に支払われる賃金(出産祝い金など)
  2. 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  3. 割増賃金(時間外・休日・深夜手当)
  4. 精皆勤手当
  5. 通勤手当
  6. 家族手当

よく質問を受けるのが「住宅手当は最低賃金に含まれるか?」です。
残業代を計算するときの除外項目と混同されているのかと思いますが、残業代の計算方法とは異なります。
住宅手当は最低賃金に含めて問題ありません。
ご注意いただければと思います。

2. 最低賃金のチェック方法

支払われている賃金が最低賃金額以上となっているかを確認するには、最低賃金と以下の方法で求めた時給額を比較する必要があります。
特に美容室においては、スタイリストへ歩合給を支給しているケースが多く、②の計算方法をマスターする方法があります。

①月給の場合

月給 ÷ 1カ月の平均所定労働時間数 ≧ 最低賃金額(時間額)

②月給+歩合給の場合

① + ( 歩合給 ÷ その月の総労働時間数 ) ≧ 最低賃金額(時間額)

まとめ

最低賃金は毎年10月に改訂されます。
この最低賃金を下回った場合は、一般的なケースでは、後日不足した差額分を追加で支払っていただければ問題はありません。
労働基準監督署の判断にもよりますが、最悪の場合は50万円以下の罰金になりますので注意が必要です。

出典・参考サイト

最低賃金制度の概要|厚生労働省

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