毎月の給与から天引き(控除)されているものの中に雇用保険料があります。
同じく天引き(控除)されている社会保険料に比べて計算された額はグッと低いですが、そもそもどのように計算されているのか、いつ天引き(控除)すればいいのかなど、確認をしてみましょう。
目次 |
1. 雇用保険料とは
雇用保険制度は、労働者の生活および雇用の安定と就職の促進のために、失業された方や教育訓練を受けられる方等に対して、失業等給付を支給する仕組みです。
また、失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進等をはかるための二つの事業を行っています。
上記を目的として、雇用保険料は運用されています。
雇用保険料は会社とスタッフ双方が負担する必要があり、雇用保険料率をもとに金額を決定します。
2. 雇用保険料の計算方法
スタッフより徴収する雇用保険料の計算は、毎月の給与計算時に行います。
その時点に適用されている雇用保険料率を確認し(現在は令和6年)、労働者負担分の料率をスタッフの支給給与に掛けて計算します。
このとき、労働の対償として労働者に支払う「すべてのもの」、支給給与全額に対して雇用保険料率を掛けますので、交通費なども含まれます。
令和6年度の雇用保険料率
横:負担者 縦:事業の種類 |
① 労働者負担 (失業等給付・ 育児休業給付の 保険料率のみ) |
② 事業主負担 |
事業者負担内訳 (失業等給付・ 育児休業給付の 保険料率) |
事業者負担内訳 (雇用保険二事業 の保険料率) |
①+② 雇用保険料率 |
一般の事業 | 6/1,000 | 9.5/1,000 | 6/1,000 | 3.5/1,000 | 15.5/1,000 |
農林水産・清酒製造の事業 | 7/1,000 | 10.5/1,000 | 7/1,000 | 3.5/1,000 | 17.5/1,000 |
建設の事業 | 7/1,000 | 11.5/1,000 | 7/1,000 | 4.5/1,000 | 18.5/1,000 |
参照「令和6年度の雇用保険料率について ~令和5年度と同率です~|厚生労働省」
上記の料率をもとに算出した金額を、給与計算の控除部分に追加します。
※雇用保険料率は事業の種類によって異なります。
美容室の場合は一般の事業となるので、スタッフの給与計算の際は給与額×6/1000で計算をしてください。
3. 雇用保険料を天引き(控除)するタイミング
スタッフから雇用保険料を控除するタイミングは給与支給時となります。
給与支払いの際に、雇用保険料を計算・徴収するため、スタッフが休業などで給与支払いが無い場合はスタッフからの雇用保険料の徴収もありません。
ですが雇用保険の徴収が無いからといって、雇用保険そのものの資格が失われるわけでは無いのでご安心ください。
4. 雇用保険料を納めるのは年1回
会社からの雇用保険料の納付は、基本的に1年に一回、労働保険料の年度更新を行い納付します。
このときに、会社から対象のスタッフ全員に払われた1年間分の給与などをもとに保険料額を計算することとなります。
会社が計算し、その後手続きを行った上で納めます。
まとめ
雇用保険料の納付までの流れを頭に入れておくと、1年間の労務手続のスケジュールを管理しやすくなると思います。
スタッフからの質問も多い部分の話になるので計算方法を一度確認してみるのもいいかもしれませんね。
出典・参考サイト
厚生年金保険料等の免除(産前産後休業・育児休業等期間)|日本年金機構