美容室を経営する上で、スタッフのライフステージに寄り添うことは、長く働き続けてもらうために大切な要素です。
特に、出産や育児は大きなライフイベントであり、従業員が安心して育児と仕事を両立できる環境を整えることが求められます。
近年、男性の育児参加が推進される中で、育児休業制度を正しく理解し、適切に対応することが経営者にとって重要になっています。
本記事では、美容室で働く男性スタッフが利用できる制度について詳しく解説し、経営者として知っておくべきポイントを紹介します。
目次
- 男性が利用できる育児休業制度とは?
- 各制度の取得可能期間と条件
- 経営者として押さえておくべきポイント
- 育児休業を活用するメリット
1. 出産に伴いパパが取得できる制度は?
近年、日本でも男性も育児のために休業できるような制度の整備が進んできました。
現在、男性が利用できる制度の主なものには「産後パパ育休(出生時育児休業)」「育児休業」等があります。
これらの制度を知り、従業員が利用しやすい環境を整えることが求められます。
2.産後パパ育休とは?
- 取得期間:子の出生後8週間以内に最大4週間取得可能(分割して2回まで取得可能)
- 申出期限:原則休業の2週間前まで
- 給付金:一定の条件を満たしている場合、休業中は雇用保険から出生時育児休業給付金が支給され、休業開始から67%の賃金が補償されます。
- 育児休業との違い:産後パパ育休は子の誕生直後に限定して取得できる短期間の制度であり、通常の育児休業とは別に取得可能です。
また、労使協定を締結している場合に限り、労働者が合意した範囲で休業中の就業が可能となります。
3. 育児休業制度とは?
• 取得期間:子が1歳になるまで(最長2歳まで延長可能)(分割して2回まで取得可能)
• 申出期限:原則1か月前まで
• 給付金:一定の条件を満たしている場合、育児休業給付金が支給され、休業開始から67%(181日目以降は50%)の賃金が補償されます。
• 産後パパ育休との違い:育児休業は長期間の取得が可能であり、産後パパ育休とあわせて取得することも可能です。
4. パパママ育休プラスとは?
産後パパ育休と名前が似ている制度に「パパママ育休プラス」があります。
これは、男性の育児休業の取得を促すための制度で、父母がともに育児休業を取得する場合、育児休業の取得可能期間を1歳2ヶ月まで延長できます。
• 取得条件:育休取得の条件を満たした上で、以下の条件を満たす必要があります。
・夫婦で育児休業を取得すること
・夫婦のいずれかが、子どもの1歳の誕生日前日までに育児休業を取得していること
・子どもの1歳の誕生日前に育児休業開始予定日が設定してあること
・パパママ育休プラス取得者の育児休業開始予定日が、配偶者の取得した育児休業開始の初日以降になっていること
5. 経営者としておさえておくべきポイント
美容室において、男性従業員が育児休業を取得することは、従業員満足度の向上や人材定着につながります。
従業員が各制度を知らないケースが多いため、社内で情報共有を積極的に行ったり、休業取得に伴う業務の負担を軽減するため、
事前に業務の分担や人員配置を検討しておくことも重要です。
また、休業中の給与負担や助成金制度について把握し、経営に与える影響を最小限に抑えるよう準備しておくと安心です。
こうした取り組みを行うことで、従業員が安心して働ける環境が整い、結果的に美容室全体の活性化につながります。
まとめ
美容室経営において、従業員がプライベートと仕事を両立できる環境を整えることは、店舗の成長にもつながります。
男性の育児休業取得をサポートすることで、スタッフの定着率が向上し、より良いサロン運営が可能になります。
経営者として制度を理解し、適切な対応を行いましょう。
〈出典〉
厚生労働省:育児・介護休業法について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html
厚生労働省:育児休業制度特設サイト
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/ryouritsu/ikuji/connection.html