会計資料の保存年限について(法人の場合)

「今年も無事に決算が完了!…あれ?この会計資料っていつまで保存しておけばいいんだっけ?とりあえず捨てなければ大丈夫!また今度考えよう…。」

そうして溜まり続けた会計資料の保存場所に頭を抱えている方も多いのではないでしょうか。
今回はついつい考えるのをやめてしまいがちな会計資料の保存年限のルールについて、まとめていきたいと思います。

目次

  1. なぜ書類を保存しなければならないのか
  2. 年限保存のルールを定めた法律
  3. 年限保存のルール(法人税法)
    1. 「帳簿」とは
    2. 「書類」とは
  4. 年限保存のルール(会社法)
  5. まとめ
  6. 出典・参考サイト

1.なぜ書類を保存しなければならないのか

ほとんどの法人が青色申告の承認を受けて法人税の申告を行っているかと思います。
その青色申告書を提出する要件の一つに「帳簿書類を7年間整理保存すること」が挙げられています。
つまり、帳簿書類を決められた年数まで保管しておかなければ、青色申告が取り消され、欠損金の繰越控除などの青色申告の特典が使えなくなる可能性が出てきてしまいます。

2.年限保存のルールを定めた法律

会計資料等の保存年限について、法人税法と会社法という法律で別々にルールが存在します。
法人税法は法人の税額計算、申告、納付などの取り決めを定めた法律になります。
一方で会社法は会社の設立や運営、清算などの取り決めを定めた法律になります。
法律別に内容を確認してみましょう。

3.年限保存のルール(法人税法)

法人の取引を記録し、売上・経費・利益などを正しく出すための「帳簿」を作成するための「書類」を、事業年度の確定申告の提出期限(事業年度終了の日の翌日から2月以内)の翌日から7年間保存しなくてはなりません。
ただし、欠損金額(簡単にいうと赤字)が生じた事業年度については10年間の保存が必要になります。

3-1.「帳簿」とは

例えば、総勘定元帳・仕訳帳・現金出納帳・売掛金元帳・買掛金元帳・固定資産台帳・売上表・仕入帳などがあります。
法人の会計帳簿を作成する際に会計ソフトを利用されているかと思いますが、ほとんどの会計ソフトでこれらの帳簿の出力が可能だと思います。

3-2.「書類」とは

前述の「帳簿」を作成する際に、計上する売上や経費の根拠となるものとなります。
美容室の場合だと売上表・棚卸表・領収書・請求書・納品書などが挙げられます。
そのほか、貸借対照表・損益計算書なども保存の対象となりますが、いわゆる決算書を保存しておけば問題ないかと思います。

4.年限保存のルール(会社法)

一方、「会社法」という法律によると、決算書や総勘定元帳・各種補助簿について10年間の保存が義務付けられています。
各種補助簿とは、現金出納帳・売掛金元帳・買掛金元帳・固定資産台帳・売上表などを指します。
前述の「帳簿」と同じ内容になります。

まとめ

領収書や請求書、預金通帳については法人税法に基づいて7年の年限保存が必要ですが、決算書や総勘定元帳、各種補助簿については会社法に基づいて10年保存が必要となります。
なお、電子帳簿保存法を上手く活用すれば、保存する書類を減らして身の回りをスッキリさせることもできます。

出典・参考サイト

C1-19 青色申告書の承認の申請|国税庁

No.5930 帳簿書類等の保存期間|国税庁