顧問先の美容室から「緊急の要件があるので折り返しお電話ください」と、かなり慌ててご連絡いただいたので折り返してみると…。
「○○労働基準監督署の□□労働基準監督官がお店に来て通知書を置いていった」とのこと。
よくよく内容を拝見すると記入式の調査票と労働基準法および安全衛生法上、備付け義務がある書類の提出を依頼する文章でした。
最近お問い合わせが増えてきているのが、この労働基準監督署の調査に対する質問です。
この調査、そもそも対応する必要があるのかというと、無作為に選ばれた事業所に対する任意の調査です。
しかし、労働基準監督官には警察などと同じ逮捕(現行犯逮捕・緊急逮捕・令状逮捕)、逮捕の際の令状によらない差押え・捜査・検証及び令状による差押え・捜査・検証等の権限がありますので、素直に調査に応じ、これを機に労働基準法や労働安全衛生法の遵守状況を確認して、改善されることをおすすめします。
目次 |
1.主な提出書類
下記の書類が主な内容になります。
- 36協定
時間外労働や休日労働を行わせる場合に必ず必要な協定になります - 年間カレンダー
- 労働条件通知書(雇用契約書)
- 就業規則、賃金規程等
- 勤怠が確認できる書類(タイムカードなど)
- 賃金台帳
- 有給休暇管理簿
- 健康診断個人票
2.是正勧告書
提出された書類を労働基準監督官が法律を満たしているか確認していきます。
完全に法律を満たしていないものについては、是正勧告書が交付され、期日までに指摘された違反事項を改善する必要があります。
これを無視した場合は、最悪、逮捕されてしまいますので、労働基準監督官と相談しながら改善していく必要があります。
よくある指摘事項
- 未払いの残業代の支払い
- 36協定の提出
- 有給休暇管理簿の整備
- 健康診断の実施
3.指導票
是正勧告ほど急を要さないが、改善が求められる項目については、指導票にて改善命令が出されます。
4.まとめ
労働基準監督署の調査について解説しました。
労基署から指摘される内容をみると、実は、御社を様々な労務リスクから守るために必要な準備を行うための改善項目になります。
但し、調査が入ってからの改善だと、改善するための費用・労力が一度に発生してしまいます。
従いまして、すぐにでも御社の現状を調査いただき、法律を満たしていない項目があるのであれば放置せずに、このような調査が入る前に何らかの対策を講じる必要があるかと思います。