美容室では協会けんぽだけでなく美容国保に加入しているお店もあります。
そこで今回は、美容国保と協会けんぽの違いは何かをお話しいたします。
目次 |
1. 美容国保とは
美容国保(東京美容国民健康保険組合)とは、国民健康保険の一種です。
国民健康保険制度とは健康保険や後期高齢者医療制度に加入されていない方向けの医療保険制度です。
市区町村で加入するものと業種ごとに組織される国民健康保険組合があり、美容国保は後者にあたります。
そのため原則は個人で加入することとなります。
1-1. 主な給付の種類
- 療養の給付
原則3割自己負担 - 高額療養費
協会けんぽと同様 - 出産一時金
一児につき50万円 - 出産手当金
1日につき5,000円の30日分(150,000円) - 傷病(入院)手当金
事業主組合員 5,000円/日(支給期間30日以内)
従業員組合 4,000円/日(支給期間30日以内)
1-2. 保険料
一般被保険者(40歳未満)の場合
- 事業主
20,000円/月 - 従業員
14,500円/月 - 同一世帯家族
9,500円/月(未就学児 6,000円/月) - 40歳~64歳
プラス3,000円
※令和6年4月からの保険料
※育休中の保険料の免除はありません。通常の保険料がかかります。
※保険料はその月の末日までに納付します。
2. 協会けんぽとは
正式には全国健康保険協会といいます。
健康保険法に基づく団体で対象となるのは中小企業の従業員とその家族です。
健康保険のため会社が加入し保険料は従業員と会社で折半します。
国民健康保険より補償の範囲が広くなっています。
2-1. 主な給付の種類
- 療養の給付
原則3割自己負担 - 高額療養費
所得により給付額が違ってくる - 傷病手当金
病気やケガで会社を休んで給与の支払いがない場合に支給される
給与の約3分の2が補償される(最長1年6か月分まで) - 出産育児一時金
一児につき50万円 - 出産手当金
出産のため会社を休んだとき、産前産後休業期間にて給与の約3分の2が補償される
2-2. 保険料(各都道府県の協会けんぽで料率が多少異なります)
40歳未満の従業員 東京の場合
報酬月額の10%を会社と折半します。
例えば、標準月額(給与+通勤費)が30万円の従業員の健康保険料は「15,000円」です。
40歳~65歳の従業員 東京の場合
報酬月額の11.82%を会社と折半します(介護保険分が加算されます)。
※産休、育休中の社員は会社負担分も合わせて保険料免除を受けられます
※保険料は翌月の末日までに納付します
まとめ
美容国保 (国民健康保険) |
協会けんぽ (社会保険) |
|
加入単位 | 個人 | 会社 |
療養費 | 原則3割自己負担 | 原則3割自己負担 |
高額療養費 | 所得により給付額が異なる | 所得により給付額が異なる |
出産一時金 | 一児につき50万円 | 一児につき50万円 |
出産手当金 | 5,000円×30日分(計15万円) | 給与の約2/3 (休業期間分) |
傷病手当金 | 事業主 5,000円 従業員 4,000円 (最長30日・入院時のみ) |
給与の約2/3 (最長1年6か月) |
美容国保は個人事業主ならびに所属する従業員でないと加入できません。
法人である場合は自動的に協会けんぽ加入になります。
稀に個人事業主で美容国保に加入していたお店が法人化した場合美容国保に残ったまま厚生年金の適用事業所になれる制度があります。
美容国保は保険料が一律で会社負担分がないなどのメリットがありますが、出産手当金が少額・傷病手当金がない(入院の場合のみ支給)・出産時の保険料免除がない、などのデメリットもあります。
なお、個人事業主の方が一度美容国保から協会けんぽに移った場合、美容国保に戻ることはできませんので考慮の上、ご検討ください。