医療費控除を受けるには セルフメディケーション税制も解説【確定申告】

「医療費控除って聞いたことはあるけど、どれが対象となる支払いなのか分からなくて確定申告の際スルーしていた…」なんて方もいらっしゃるかと思います。
今回は医療費控除の概要から要件、そして医療費控除とどちらか選択して適用が可能なセルフメディケーション税制についても解説していきます。
本記事を参考に、是非今年の確定申告から医療費控除を活用し、節税につなげていきましょう。

目次

  1. 医療費控除とは
  2. 医療費の範囲
  3. 医療費控除を受ける際の注意点
  4. セルフメディケーション税制とは
  5. 医療費控除とセルフメディケーション税制のダブル適用はできる?
  6. まとめ
  7. 出典・参考サイト
  8. 関連記事

1. 医療費控除とは

その年(1月1日~12月31日)までの間に支払った医療費が10万円を超えるときに使え、超えた部分が所得から控除される制度です(最高で200万円)。
年間15万円の医療費を払っていれば、 15万円 - 10万円 で5万円の所得控除を受けられることになります。

※総所得金額が200万円未満の方は総所得金額の5%を超えた医療費を支払っていれば10万円未満であっても医療費控除を適用できます

また、医療費控除は申告する本人だけでなく、生計を一にする配偶者や親族のために支払った医療費も含めて計算することができます。
そのため1人で10万円超えていなくても家族分も合わせたら超えていたなんてケースもありますので、覚えておきましょう。

なお、医療費控除は確定申告をする必要があります。年末調整では控除することができませんので、法人形態で美容室を経営されている方や、お店のスタッフは注意してください。

2. 医療費の範囲

ここでは医療費控除に該当する支払いと該当しない支払いについて解説します。
医療費控除に該当する医療費として明確な規定があるわけではありませんが、診療・治療のための支払いがキーワードになります。

医療費控除の対象となるものを一部ご紹介します。

  • 病院での診察料、治療費、入院費
  • 医師の処方箋のもとの購入した医薬品

また、治療費と付随する支払いとして下記も医療費控除の対象になります。

  • 通院の際の交通費
  • 入院の際の部屋代、食事代

一方、医療費控除の対象にならない支払いの例は次のとおりです。

  • 人間ドック、健康診断、予防接種
  • 美容整形
  • 自家用車で通院した際のガソリン代や駐車場代

治療というのがキーワードになりますので、予防接種や美容目的の支払いは対象になりません。
また、人間ドックや健康診断の費用も、原則として医療費控除の対象になりませんので注意しましょう。
(健康診断等の結果、重大な疾病が発見され、引き続き治療を行ったような場合であれば、対象となることがあります)

3. 医療費控除を受ける際の注意点

医療費控除の対象となる金額は、保険金などで補填された分を除いて計算します。
例えば、年間15万円医療費を払ったが、そのうち入院費の3万円を保険金で受け取っていれば、医療費控除の対象となる金額は 15万円 - 10万円 - 3万円 = 2万円 となります。
次のような場合は、医療費を補填するものの受取りがあることが多いので注意してください。

  • 入院した場合
    医療保険などの保険金
  • 出産した場合
    出産一時金
  • 医療費が多額にのぼった場合
    高額療養費

4. セルフメディケーション税制とは

医療費控除の特例としてセルフメディケーション税制という制度があります。
セルフメディケーション税制とは、健康の保持増進及び疾病の予防としての一定の取り組みを行っている方が、本人と生計を一にする配偶者・親族のためにその年(1月1日~12月31日)12,000円を超える対象医薬品を購入した場合に受けることができる制度です(88,000円が限度)。

「一定の取り組み」には下記などが該当します。

  • 保険者が実施する健康診査
  • 予防接種(定期接種、インフルエンザワクチンの予防接種)
  • 勤務先で実施する定期健康診断

なお、確定申告される方が一定の取り組みを行っている必要があり、取り組みに要した費用そのものは控除の対象となりません。

対象医薬品の範囲は

  • 医師によって処方される医薬品
  • 薬局やドラッグストア等で購入できる医薬品

で、厚生労働省が指定する特定の成分・薬効が含まれるものです。
セルフメディケーション税制の対象とされる医薬品には領収書に控除対象であることが記載されているため、領収書を破棄してしまわないように注意してください。

5. 医療費控除とセルフメディケーション税制のダブル適用はできる?

セルフメディケーション税制はあくまで医療費控除の特例であるため、医療費控除とどちらかを選択しての適用となります。
そのため、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制を併せて適用することはできませんので注意してください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
医療費控除の概要を理解して次の確定申告から医療費控除を活用し節税につなげていきましょう。
今回の記事を読んでも医療費控除に該当するのか悩ましい支払いもあるかもしれません。
顧問税理士がいらっしゃるのであれば、相談してみましょう。

出典・参考サイト

No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)|国税庁

No.1129 特定一般用医薬品等購入費を支払ったとき(医療費控除の特例)【セルフメディケーション税制】|国税庁

No.1122 医療費控除の対象となる医療費|国税庁

セルフメディケーション税制(特定の医薬品購入額の所得控除制度)について|厚生労働省
※対象品目の一覧も掲載されています

関連記事

生命保険料控除について

配偶者控除と配偶者特別控除、それぞれの違い【確定申告】

株で利益や損失が出た時に確定申告は必要?【確定申告】